西国お遍路“行雲流水”

西国三十三所や四国八十八ヶ所を雲のごとく水のごとく巡礼した記録

四国八十八ヶ所 歩き遍路 19日目(2021.8.8) 38番札所 ホテルしみず~「市野々」バス停

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38番金剛福寺

台風が近づいているという悪条件の中、四国最南端の足摺岬へと向かいます。3日ぶりの札所参拝となる、四国八十八ヶ所歩き遍路の旅、19日目のレポートです!

歩き遍路 19日目 ホテルしみずから「市野々」バス停まで

歩き遍路19日目、8月8日(日)のレポートです。まずは、計画表と実行程表をご覧ください。

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前日にカフェダイニング ルーチェのマスターから教えられたとおり、金剛福寺を参拝した後のルートは大きく変わっています。台風が接近している中でもあり、かなり急ぎ足での強行軍となった一日でした。

この日も朝は5時に起床し、前日にローソン土佐清水旭町店で購入した朝食を食べます。台風が接近していることから、38番札所金剛福寺を飛ばして39番札所延光寺を先に回ることも考えながら天気予報を見ていました。しかし、何とか日中は天気がもちそうだったので、予定どおりに金剛福寺を目指すことにします。足摺岬の先端ですから、雨風は強まりそうですが、大丈夫なのでしょうか。

ホテルしみずから38番札所金剛福寺まで

7時ごろにホテルしみずを出発し、38番札所金剛福寺には9時50分に到着しました。Googleマップよりも7分遅いだけですから、かなり健闘しているように思います。やはり台風が接近している中だったので、結構急ぎ足で歩いていたようです。

テレビでも台風9号の情報は繰り返し報道されていました。8月8日6時の段階では中心気圧が990hpa、沖縄本島の北西100km付近の海上にあり、北東方面へと進行中です。まだかなり距離がある感じでしたが、この後徐々にスピードを上げていくという予報でした。実際に、8月8日20時過ぎに鹿児島県枕崎市付近に上陸していますので、明らかに四国への影響は避けられない感じです。

なるべく早く参拝を済ませてホテルに帰ることを考え、7時にはホテルを出発しました。

まずはローソン土佐清水旭町店で物資を補充します。飲み物等を購入しました。その後はGooleマップに従い、東へと一辻進んでから、南へと下っていきます。するとサニーマート清水店に面した、県道27号線に突き当たりました。ここからは、基本的にこの県道27号線を金剛福寺まで歩いていくことになります。

土佐清水の町並みは湾のようになっている清水港の周りに広がっています。それゆえ、県道も湾の周りをぐるっと大回りしていかなければなりません。これは歩き遍路にとっては面倒なことです。ちょっと前に目標が見えているのに、遠回りしないといけないわけです。

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※清水港

上の写真で7時15分です。この時間帯はまだ青天がつづいていました。

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※唐船島

湾の最奥部にある唐船島です。ここで7時23分でした。

唐船島を右手に見ながら湾内にかかる橋を渡ると、すぐに分岐点に出ます。右が県道27号線、左が県道348号線足摺スカイラインです。

県道348号線足摺スカイラインは山中を通っていく真ん中の道になります。カフェダイニング ルーチェでは、西側の道である県道27号線を勧められましたので、右に進みます。

なお、四国遍路聖地巡礼のマップ*1では、以布利からそのまま半島の東側を通るルートを遍路道としています。

県道はそのまま湾の出口である西の方へと向かっていきます。ここで7時39分でした。

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※清水港の出口へ

3分後、灯台が2基見えてきました。

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※清水港の灯台

この辺りから道は南へと向かっていきます。すぐに、清水の名水が出てきました。7時46分です。

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※清水の名水

昔は歩き遍路の方たちもこういったお水を飲んでおられたのでしょう。お腹が弱い私は残念ながらパスしますが。しかしよく考えると、「清水」という地名はこういった名水に因んでいる可能性がありますよね。

清水の名水から900メートルほど歩くと、中浜の集落へと降りていく道が出てきました。ジョン万次郎の生家もこの中浜の集落にあります。

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※中浜の集落

ここで8時ちょうどでした。中浜の集落を抜けていくこともできますが、私は最短距離と思われる県道をそのまま進みました。

しかし県道は少し山側を通っているので、集落より少し高いですし、意外とアップダウンがあります。なかなかハードな旅です。

800メートルほど県道を進んでいくと、再び中浜集落への入口が出てきました。

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※中浜集落入口

上の写真にある中浜万次郎というのがいわゆるジョン万次郎のことですね。

土佐清水市のホームページ*2によれば、ジョン万次郎は1827年にこの地に生まれ、1841年、14歳で漂流し、土佐清水から760km離れた太平洋の孤島、鳥島に漂着したそうです。漂着から143日後、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号に救われ、鎖国下に日本には帰れないことからハワイへと連れていってもらったのでした。

その後、若くて働き者であり、また聡明な万次郎は、ジョン・ハウランド号ホイットフィールド船長に連れられてアメリカ本土へ渡ることになりました。船の名前をとって「ジョン・マン」と呼ばれて可愛がられ、語学や様々な科学を学びます。その後アメリカで資金を稼いだ万次郎は、漂流から10年後、2人の仲間とともに幕末の日本へと帰着したのでした。

折しもペリー来航の2年前のことであり、万次郎土佐藩から士分に取り立てられ中浜万次郎を名乗り、さらに幕府の直参に取り立てられました。その後の活躍は割愛しますが、時代が万次郎を求めていたということですね。

どこでポスターを見たかは忘れましたが、万次郎を大河ドラマにしようという運動が高知県では展開されていました。確かにこの波乱万丈な人生と、過酷な運命にも屈しない人間性は、大河ドラマの題材として面白そうです。そういったキャラクター性のせいか、2010年の『龍馬伝』ではトータス松本さん、2018年の『西郷どん』では劇団ひとりさんなど、なかなか癖の強い方が大河ドラマでは演じておられますね。

中浜集落への入口から650メートルほど進むと、大浜トンネルが現れました。8時16分です。

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※大浜トンネル

大浜トンネルは1993年3月の完成で、長さは312メートルあります。歩道の幅は普通ですが、交通量はそれほど多くなかったため、安全なトンネルでした。

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※大浜トンネルから出口を望む

中からの景色が良かったので写真を撮ったのですが、ちょっとこれではぼやけていて分からないですね。

トンネルを出て少し歩いてから撮ったのが下の写真です。

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※足摺岬の方を望む

大浜トンネルから800メートルほど進むと、今度は松尾トンネルです。

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※松尾トンネル

松尾トンネルは2014年2月の完成で、長さは1,057メートルもあります。前日に通った新伊豆田トンネルに次ぐ長さでしょうか。歩道は幅が広いので、安全に通行することができます。

トンネルを出てから750メートルほど進んだところに、松尾の集落へと降りていく道がありました。飲み物が乏しくなっていたこともあり、そちらに進むことにします。割と急な坂を降りていきました。

立派な橋脚の県道27号線を左上に見ながら、集落の中を歩きます。福田酒店というお店があり、自動販売機がありました。しかしよく見ると、ビールなどのお酒ばかりが売っています。ところがさらによく見ると、ポカリスエットだけは売っていました。ありがたく購入します。

福田酒店から少し進むと、左側に若宮神社がありました。ここで9時1分です。

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※若宮神社

ちょうどこの辺りを通っていると、バスが後ろからやって来ました。バスは集落を通るように運行しているわけですね。私が歩いているだけでバスが通れないくらい細い道ですので、ギリギリまで道の端に寄りました。しかし、とくに挨拶もないままバスは通り過ぎていきました。

若宮神社の前から600メートル進むと、県道27号線に戻ってきました。さらに進んでいきます。

この後、「大戸」というバス停の近辺だったと思いますが、反対側からやって来たおじさんが、ポカリスエットのペットボトルをくださいました。「冷えてないけど」ということでしたが、ポカリはいくらあっても困りません。ありがたくいただきました。それにしても、散歩されてる方なのか、お遍路さんなのかはちょっと分かりませんでした。

他にも散歩されている方とすれ違いましたが、はっきりとお遍路さんと分かる服装の方はいらっしゃいませんでした。

ポカリスエットをもらったすぐ後に、おおどトンボ公園前を通過します。Googleマップでは公園の名前しか書いてありませんが、公園にはヘンロ小屋・足摺岬・第20号がありました。9時15分です。

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※おおどトンボ公園とヘンロ小屋

ここには自動販売機もありました。私は休まずにそのまま進みます。

この後850メートルほど進むと、また分岐点に出ました。左が県道27号線、右が足摺の集落を通っていく道です。バスは、右を通るようです。

前年に車で来た際は、おそらく県道27号線を直進したはずです。今、Googleマップで見返しても、結構山になっているルートでした。

そこで、山を避けて集落側の道を通っていきます。道は比較的平坦で、歩きやすかったです。

この道も850メートルほどで県道27号線に合流しました。この辺の町並みはよく憶えています。確か少し先に観光センターのようなものがあったはずです。

民宿足摺はっとの手前に、市営駐車場と観光・宿泊案内所がありました。前年はここで車を停め、バスに乗り換えて足摺岬や金剛福寺に行くように誘導されたのでした。

しかし、今年はとくにそんな誘導はありません。コロナ禍で来訪者が少ないのか、まだお盆休みに入っていないからなのか分かりませんが、去年のは何だったのだ、という思いが去来します。

確かここからは10分ほどで金剛福寺に到着するはずです。駐車場内のバス停のところにトイレがあったので、お借りしました。

すぐに出発し、金剛福寺を目指します。じわじわと登っていく感じです。山側から降りてくる道と合流する地点に、白山神社がありました。ここで9時45分です。

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※白山神社

白山神社から先は森の中を車道が通っているような感じです。遊歩道もあります。何でも足摺亜熱帯植物園となっているようです。

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※植物園の説明板

南国なので、珍しい植物も自生しているのでしょう。1978年には昭和天皇も行幸されたそうです。

9時50分、植物園を抜けてすぐに38番札所金剛福寺山門に到着しました。

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※山門

西から行った場合、手前に仏さまの石像が林立していますが、そこからお寺の敷地に入るとややこしいです。県道を東に進み、山門まで出た方がいいです。実際、前年に訪れた際に私はそこから本坊の方に出てしまい、本堂大師堂はどこだ?と迷った経験があります。

バイクがいっぱい来ていたのですが、どうやらお目当ては足摺岬のようで、お寺の方には来られませんでした。ラッキーだったのですが、私がお寺に入ったときには、ライダー以外の参拝者がちらほらいらっしゃいました。

山門の裏にベンチがあったのでそこで準備を整えます。するとその間に皆さん参拝を終えられ、私が参拝し始めたときにはどなたもいらっしゃらなくなりました。貸し切り状態です。

このお寺も私が好きなお寺の一つです。どことなく西国三十三所の総持寺に似ていますが、総持寺は山号が補陀洛山、金剛福寺は院号が補陀洛院ですので、どちらも理想とするところは同じなのでしょう。観音さまの住まわれる、補陀洛をイメージしているということですね。ちなみに総持寺ご本尊は十一面千手観世音菩薩ですが、金剛福寺ご本尊は三面観世音菩薩です。

しかし境内には足摺らしい奇岩も多く、独特の雰囲気もあります。境内案内図や見所については、四国遍路聖地巡礼のホームページ*3をご覧ください。

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※金剛福寺のカメの石像

まずは本堂納経をします。3日ぶりの読経です。

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※本堂

大師堂本堂から少し離れています。池の西側に建っていました。

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※大師堂

納経を終えて、納経所へ向かいます。納経所山門本堂の間にあります。

私が納経所へ向かっていると、少し参拝者が増えてきました。納経所はおばさんで、少し台風の話をしました。しかし意外とのん気な感じだったように思います。慣れておられるのかもしれません。

山門の裏側に戻り、ベンチで荷物を整理しました。すると、小さな男の子の兄弟が湧き水で遊び始めました。母親は早く来るように促していましたが、弟の方は少しいちびりつづけていました。ひとしきりいちびってから慌てて母親を追いかけていきましたが、階段を登るときにこけてしまいました。こけるぞ、と思って見ていたら、予想どおりでした。

準備を終えて出発しようとすると、タクシーの運転手さんに案内されているご夫婦のお遍路さんとすれ違いました。奥さんの方は何かのアスリートのようでした。

さらに、山門から下っていくとちょうど山門の真ん前にタクシーが停まり、中から参拝者が出てきました。この辺りはタクシーのお遍路さんも多いのでしょう。何しろ、鉄道は来ていませんし、バスも1時間に1本あるかないかですからね。

さあ、これで無事に38番札所の参拝は終わりました。とりあえずいったんホテルまで戻ることにします。

38番札所金剛福寺からホテルしみずまで

10時18分に38番札所金剛福寺を出発し、ホテルしみずには13時5分ごろに到着しました。帰りも少しだけGoogleマップより時間がかかっています。

10時18分ごろに金剛福寺を後にし、ほぼ同じルートをホテルまで戻ります。

行きにも利用した市営駐車場のバス乗り場にあるトイレを、帰りもお借りしました。

11時4分には、松尾集落の付近まで戻ってきました。足摺岬のマップがあります。

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※ジョン万黒潮ロードの案内板

上が南になっていますので、ちょっと違和感を覚えるかもしれません。

行きは松尾の集落を通りましたが、帰りは県道27号線のまま進みました。11時9分です。

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※松尾の集落

上の写真で一番上を通っているのが県道27号線です。左から斜めに下っている道がありますが、行きはそこを通って松尾の集落に入りました。

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※松尾集落付近の県道27号線

自動販売機を求めて松尾の集落に入ったのですが、県道沿いにも自動販売機はありました。降りる必要はなかったんですね。

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※松尾の集落

奥に道がつづいていますが、そちらが足摺岬・金剛福寺方面です。

この後松尾トンネルを過ぎ、さらに大浜トンネルを過ぎて、中浜の集落近辺まで戻ってきました。奥に見える青いものは、音無川にかかる中ノ浜大橋です。11時59分でした。

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※奥に中ノ浜大橋が見える

12時21分には清水の名水まで戻ってきました。帰りは道路の反対側を通っていたので、写真がアップになっています。

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※清水の名水

後は湾内をぐるりと回り、ホテルを目指します。昼食をどこで食べようか悩んでいたのですが、またお腹の調子がイヤな感じになってきていたので、コンビニで購入してホテルで済ませることにしました。

ということで、何とか13時前にはローソン土佐清水旭町店に到着しました。暑い中を歩いてきましたので、熱いものは食べたくありません。冷やし中華とチャーハンのおにぎりを食べることにしました。

レジは、前日の夕方に働いておられたお姉さんでした。「昨日のお遍路さんですよね」と話しかけられたので、「金剛福寺に行ってきたんですよ」といったお話を少ししました。この辺は都会のコンビニにはない感覚ですね。

ホテルに戻り、用を足します。この日も何とかうまくかわしましたね。クーラーをガンガンにかけて、冷やし中華とチャーハンのおにぎりを食べました。

さて、この後が問題です。前日の感じでは「鍵掛橋」か「鍵掛」辺りまで戻れば十分かと考えていましたが、台風は意外と遅いスピードで近づいてきていました。8月8日12時の段階では、まだ奄美大島の北西付近を通過しています。翌日に影響が残ることを考えると、翌日のスタートは遅くなります。となれば、この日のうちに頑張っておく必要がありそうです。

ホテルしみずから「鍵掛橋」までは10.8km、「鍵掛」までは11.2kmです。もう少し足を伸ばしておいた方がよさそうです。バスの時間なども考えた結果、下ノ加江の集落の北端に当たる、「市野々」バス停まで進んでおくことにしました。距離にして14.4km、バスの時間は夕方18時1分です。4時間あれば大丈夫だろうということで、14時にホテルを再出発しました。

ホテルしみずから「市野々」バス停まで

14時にホテルを出発して、「市野々」バス停には17時33分に到着しました。Googleマップより30分以上時間がかかってしまっています。ホテルで休憩した後だったとはいえ、26km歩いてからの14kmはやはりキツかったようです。

ホテルを出発して、国道32号線を北上します。最初は少し登っていく感じになります。

前日に通った以布利トンネルを再び通ります。トンネルの入口の交差点で、自転車ツーリングのグループとすれ違いました。台風が近づいてきているなか、これから足摺岬に向かうようです。どこら辺から来たのか分かりませんが、大丈夫かな?とちょっと心配になりました。その予感は、この後ある程度的中することになります。

さて、私はただひたすら歩いていくだけです。

15時18分、大岐浜の入口に到着です。ここで金剛福寺まで17kmと書いてあります。

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※大岐浜

大岐松原の説明板もありました。

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※大岐松原の説明板

海沿いの地域では防風林として松を植えることが多いですからね。入野の松原も有名な感じでしたが、ここも有名なのでしょう。

それにしても足取りは重いですね。札所参拝に必要な荷物も置いてきたので、軽いはずなんですが、足摺岬を往復した疲労がジワジワと来ています。また、この少し前くらいから足がちょっと痛くなってきていました。右足の中指の爪のところに、黒く内出血した跡が残っていたのです。

ばい菌なんかが入っていたらイヤだなあ、と思いながら歩を進めます。肉体的疲労もあいまって、かなりキツかったです。

市野々」まで行くのをやめて、途中の「鍵掛」か「鍵掛橋」で1本早いバスに乗ろうかなという考えも頭をよぎりました。しかしこの大浜松原の説明板の辺りから「鍵掛橋」まではまだ5kmもあります。16時14分発のバスにはとても間に合わない感じでした。

となると、1本早いバスに乗るにはもっと手前からバスに乗らなければいけなくなります。そうなれば、逆に翌日の日程が厳しくなるわけです。とにかくキツかったですが、前進するしかありませんでした。

案の定、「鍵掛橋」のはるか手前で1本早いバスとすれ違いました。ちょっと記憶が定かではありませんが、おそらく「中ノ刈谷」よりも南側だったと思います。

こうなるともはや18時台のバスに乗るしかありません。翌日のことを考えると、できるだけ距離をかせいでおく方がよさそうです。あわよくば「市野々」よりも遠くまで行くことも考え始めました。

16時48分、下ノ加江大橋を渡ります。

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※下ノ加江大橋から下流側を望む

天気が明らかにどんよりしてきました。台風が接近していることがうかがえます。幸い、風はまだ強くなっていませんでした。

下ノ加江大橋を渡り、すぐのところにあるローソン土佐清水下ノ加江店に入ります。トイレをお借りして、翌日のウィダーインゼリーを購入しました。確かホテルの最寄りのローソン土佐清水旭町店ではウィダーインゼリーが買えなかったからだったと思います。置いてなかったのでしょうね。

この段階で17時を過ぎていますが、バスまではまだあと1時間あります。頑張って「市野々」を目指します。

下ノ加江の集落の北の方、「下ノ加江小方」というバス停を過ぎてすぐのところに、神母神社がありました。

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※神母神社

ここで17時12分でした。

ジワジワとした登りであり、疲れていたということもあり、神母神社から1.3kmを20分以上かけて、ようやく「市野々」バス停までたどり着きました。

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※「市野々」バス停

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※「市野々」バス停時刻表

17時33分、「市野々」バス停に到着です。この日は日曜日でしたので、16時台のバスの次は、18時1分のバスです。2時間に1本あるだけでもマシですよね。

このバス停は集落の外れにあり、ベンチも何にもありません。30分以上待たないといけないのですが、立っているしかないようです。近くにお店がないか探す元気ももうありませんでした。

そして、いよいよ雨まで降ってきました。それほど強い雨ではなかったので、カッパではなく折りたたみ傘を差します。それにしても、ついに台風の影響が本格的に及んできたということでしょうか。

雨の中待つこと30分、2分遅れでバスがやって来ました。台風の接近具合によっては、運休になることも考えられたので、実際にバスが来たときは心から安堵しました。

歩きを終えて

バスは速いです。私が3時間30分かけて歩いた距離を、わずか30分足らずで走っていきました。18時30分ごろ、ホテルしみずを少し行き過ぎて、ローソン土佐清水旭町店のすぐ近くの「旭町」バス停に到着しました。ここからホテルまでは歩いて3分くらいでしょうか。

先にローソンで夕食と翌日の朝食を購入しました。荷物は多くなりますが、また来るのは面倒です。夕食は牛カルビ焼肉弁当とコーンサラダにしました。翌朝のパンは、まあだいたい同じような感じです。

18時40分ごろ、ホテルしみずに到着です。

まずはすぐにシャワーを浴びます。シャワーを浴びてから夕食を食べ、そしてさらに洗濯にとりかかりました。洗濯中に浴槽にお湯をためて入浴します。やはり入浴しないと、疲れがとれないですよね。

20時の少し手前だったでしょうか、ロビーの近くにあるランドリーに洗濯物を取りにいくと、何と夕方見た自転車のグループがホテルにチェックインしようとしておられます。このころにはもう大雨になっており、皆さんかなり濡れておられるご様子でした。

しかもどうやら予約をしておられないらしく、誰々と一緒の部屋でいいとかどうとか言っておられます。うーん、ちょっと無謀ではないですか?

台風が近づいてきていることは事前に分かったはずです。この日どこに宿泊する予定だったのか分かりませんが、雨に祟られて急遽ホテルしみずに泊まろうとしているとしたら、ちょっと無計画ですよね。

もちろん、行き当たりばったりというのも旅の楽しみ方の一つですし、そこをとやかく言うつもりはありません。しかし、台風という自然の猛威の中でツーリングを強行し、遭難するなどした場合には、地元の消防や警察の方々にご迷惑をかけることになります。

しかも5~6人のグループでしたから、予約なしでは泊まるところが見つからなかった可能性もあります。暴風雨の中、ツーリングをつづけることもできないでしょうし、雨風をしのげるところが見つからないとなると、下手をすれば命に関わってきますよね。グループには欧米人らしき方もいらっしゃったのですが、企画している日本人側がその辺をしっかりと整えておかないといけなかったと思います。

自画自賛で申し訳ないですが、私はこの歩き遍路の旅を始めるに当たり、40泊分のホテルを事前に予約していました。1日に40km歩かなければいけない日もあるキツイ日程でもありましたが、入念に準備をしたうえで、可能だと判断してそのように計画したわけです。

さらに言えば、どこかで台風が来るのではないかという可能性は含んだうえでの計画でした。予定変更もやむを得ない場合が必ず来るだろうと覚悟のうえで臨んだわけです。

私の場合、幸いなことに大幅に予定が狂うことはありませんでした。それもこれも準備が周到だったからだと思っています。

故野村克也監督の名言に、「一に準備、二に準備」や「負けに不思議の負けなし」という言葉があります。つまり、負けるということは勝つための準備が足りなかったためであり、当然の結果である、ということです。私も教師としてたびたび準備の重要性を生徒に伝えてきましたが、自転車グループの皆さんはその準備が足りなかったように思います。

幸い、ホテルしみずは部屋が結構空いていたようで、彼らも無事に宿泊することができたようです。

すでに書いたとおり、台風9号は20時過ぎに鹿児島県枕崎市付近に上陸しました。その後、21時には大隅半島に、翌9日0時には宮崎県の北端付近にまで移動してきました。

私が寝るころには雨風が強くなっていましたが、就寝してからも、何度か風の強さに目が覚めました。ホテルしみずは裏が高台のようになっているので、土砂崩れなど起きないかどうか心配でした。しかしまあ考えても仕方がないので、そのまま寝直します。

翌日には何とか天気が回復していてくれることを祈るばかりでした……。

歩き遍路振り返りデータ

歩き遍路のためにデータを振り返っておきます。なお、飲食費はここでは振り返りません。人によって飲食費は変わると思いますので。私は1日に500mlのペットボトルを6~8本くらい飲んでいましたので、飲み物代だけでも1日に1,000円以上は軽く超えていました。

札所情報

札所:なし

納経代:300円

大師納経代:300円

宿情報

ホテルしみず

シングルルーム(洋室・禁煙)

宿泊費:4,500円

室内に冷蔵庫・バス・トイレあり

WiFiあり

大浴場なし

洗濯機・乾燥機あり。無料。洗剤代500円

アクセス:「旭町」バス停から徒歩3分

コンビニ:徒歩3分

フロントの対応は普通だが、サービスはよい。広くてゆったりしているが、施設の老朽化は否めない

バス情報

行き:なし

帰り:高知西南交通バス 「市野々」~「旭町」 700円

距離と歩数

ASUS VivoWatch BP(HC-A04)

カロリー:2,708kcal

距離  :39.4km

歩数  :56,871歩

スマホアプリ

歩数  :63,954歩

 

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最終更新:2022.1.14