西国お遍路“行雲流水”

西国三十三所や四国八十八ヶ所を雲のごとく水のごとく巡礼した記録

西国三十三所 2021年特別拝観 興福寺南円堂 不空羂索観音像を拝観してきました!

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興福寺南円堂

2021年10月17日、九番札所興福寺南円堂特別公開に行ってきました! 何と年に1回しか公開されない特別なものですので、大変貴重な体験をさせていただきました。

いただいたリーフレットによると、毎年10月17日に特別公開が行われているようです。今年は日曜日に重なった貴重な年だったわけですね。今年見逃された方は、来年は月曜日ですのでご注意ください! 次に日曜日になるのは2027年のこととなります。

あわせて、五重塔(初層内陣)特別公開も拝観してまいりました! こちらの方は11月23日まで公開されていますので、ご興味のある方はぜひご参拝ください。

南坊の巡礼記「興福寺特別拝観」(2021.10.17)

四国八十八ヶ所のレポートにかかりきりになっていましたが、関西人にとってより身近な西国三十三所を忘れるわけにはいかない!ということで、予定を立案し、弾丸ツアーで奈良に行ってきました!

前日くらいから急に秋が深まってきました。ちょっと前までは30度超えの毎日だったのですが、この日の奈良の最低気温は14.4度ということで、寒暖差に身が震えます。

九番札所 興福寺南円堂 特別公開

茨木市から奈良市へは、実は直線距離ではたったの26kmしかありません。しかし、電車で行くには大阪か京都のどちらかにいったん出る必要があります。というわけで、当初は電車で行くことを計画し、お遍路以来の4時起きとなりました。

ところが、阪急の「茨木市駅」に向かって家を出て歩き始めてしばらくしてから、眼鏡を持ってくるのを忘れていたことに気がつき、家に戻ることになってしまいました。6時17分の電車を予定していたのですが、とても乗れそうにありません。

そこで、急遽車で行くことに変更します。秋の奈良ということで車は混むだろうと思い、敬遠していたのですが、時間的余裕がなくなったことでやむを得ない選択です。

家まで戻り、車に乗って出発です。日曜日の6時台ですから、茨木市内の道はとても空いていました。

近畿自動車道から第二阪奈道路に入り、あっという間に奈良に到着です。正味1時間程度でした。前日に最後まで車と電車で悩んでいたこともあり、駐車場は事前にリサーチしていました。奈良県庁の裏手にある、奈良登大路自動車駐車場に停めます。

ここは1日停めても最大1,000円で非常に良心的な駐車場です。地下もあるので、雨天や炎天下のときに大変助かります。また、キレイなトイレもあるので、とてもよい駐車場です。実はこの日も雨だったんですね。

さすがに朝の7時半ごろですので、駐車場はまだガラガラでした。しかし紅葉シーズンなど、混むときには結構早い時間から混むらしいので、要注意です。

駐車場に車を停め、出発します。お目当ての興福寺南円堂特別公開は9時からなのですが、何となく大勢の方が早くから並んでいるのではないかというイメージを持っていたので、早めに並ぼうと思ったのです。

というわけで、駐車場を出て県庁の敷地内を通り、興福寺へと入っていきます。すでにそこそこ参拝者がいらっしゃいます。さすが奈良ですね。

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※中金堂

中金堂の前を抜けて、南円堂の前には7時45分ごろに到着しました。

まだ行列らしきものができていなかったので、納経所のおじさんにおうかがします。すると、南円堂の左側に建っているテントが受付になる、とのことでした。

そちらに近づくと、まだ女性の方が準備をしておられるところでした。

待つことにしましたが、テントから2~3メートルほど離れたところに、キャリーバッグを携えた半袖の女性が1人立っておられます。「並んでおられますか?」と聞くと、「はい」とのことでしたので、2番目に並ばせてもらいました。さすが、1時間以上前に来ても1番ではなかったようです。

ところが、この後はなかなか並ぶ人が増えません。8時を過ぎた段階で、ようやく熟年のご友人のグループ、別の熟年のご夫婦と並ぶ人が現れました。8時15分くらいまでは10人ほどしか並んでいなかったように思いますので、早めに並ぶ方でも、8時を過ぎてからで十分だと思われます。

ただ、今年の場合はコロナ禍ということと、雨天、急な寒さという悪条件が重なっていましたので、もしかすると例年より出足が遅かったのかもしれません。

8時半ごろになると、どこまで行列がつづいているのか、建物の陰になって分からないくらい人が増えていました。

9時少し前、準備が整ったということで受付が始まりました。私は300円ちょうど用意していたので、スムーズに入っていきます。1番の人を抜かす形になってしまいました。ただ、ゆっくりと歩いて1番の人が先に入れるように調整します。

外側の回廊を少し回って中に入ります。靴箱があるので靴を脱いでそこに置き、中に入りました。中はさほど広くはありませんが、入ってすぐに不空羂索観音菩薩坐像ふくうけんさくかんのんぼさつざぞうのお姿が目に入ってきました。右半身が見える形です。

当然のことながら写真を撮ることができませんので、お姿をお見せすることができません。また、興福寺のホームページ内でリンクがうまくできておらず、そちらで写真を見ていただくこともできないようです*1。そこで、うまくお伝えできるかどうか分かりませんが、当日いただいたリーフレットをもとにご様子などをお伝えしようと思います。

まず、ぱっと見て思ったことは、大きい、ということです。かなり見上げます。3.36メートルあるということですが、台座も1メートル以上あったでしょうか。ですから、かなり大きく感じます。

木像ですが、色が金色になっています。漆箔ということですので、着色しているようです。

また、ご表情は何とも言えない柔和な表情をしておられます。八臂の腕の、左の一番下の腕で羂索(※ロープのようなもの)を持っておられました。

大仏師である運慶の父、康慶の作品とされ、鎌倉時代初期の文治5(1189)年に建立されたそうです。もちろん、国宝です。

須弥壇の四方は、四天王像によって守られています。これも康慶が制作したもので、鎧をまとった重厚な武将の造形となっています。こちらも国宝です。2メートル前後ある像なのですが、不空羂索観音像が大きすぎて小さく見えてしまいます。

堂内にはほとんど1番に入りましたので、静かに拝観することができました。

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※南円堂入口 北側にある

外に出て、五重塔の方から撮った写真がトップの写真です。9時31分でしたが、列が100メートル近くの長さになっていました。さすがに、たくさんの方が拝観されるわけですね。

以下に、堂内の国宝リストを挙げておきます。ちなみに南円堂の建物自体は国指定の重要文化財となっています。

国宝

木造 不空羂索観音菩薩坐像(鎌倉時代)

木造 四天王立像(鎌倉時代) 4体

木造 法相六祖坐像(鎌倉時代) 6体

みなさんも、ぜひ一度はご覧いただきたいと思います。

興福寺南円堂特別公開データ

期間   :2021年10月17日(日)

開扉時間 :9:00~12:00、14:00~17:00

特別拝観料:300円

興福寺五重塔特別公開

さて、南円堂特別公開を参拝させていただき、当初はとくに考えていなかった五重塔特別公開も拝観させていただくことにしました。幸い、それほど並んではいません。こちらは11月23日までやっているようですが、そうそう興福寺に来ることもないでしょうし、貴重な機会です。

南円堂五重塔はほぼ東西で一直線に並んでいますので、そのまま東へ向かえばオッケーです。入口のところにはテントが建っていますので、そこで拝観券を購入するのでしょう。

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※五重塔

と思って行ったところ、実は拝観券の購入はここではできない、とのことでした。東金堂の北西にある拝観受付で購入しないといけないようです。

これは要注意ですね。南円堂特別公開南円堂の南東側のテントで販売していますが、それ以外はこの拝観受付で購入しないといけない、ということです。

急いで拝観券を購入し、テントのところに戻りました。実はこちらも少しずつ列が長くなってきていたので、うかうかしてはいられなかったのです。

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※五重塔入口

中が混雑しないように、入口の係の方が誘導してくださいました。これは南円堂も同じで、南円堂の場合かなり人が滞留してしまい、列が長くなる傾向が強かったようです。

入ってすぐに出迎えてくださったのが阿弥陀如来さまです。西方極楽浄土の仏さまですが、ここでは西面しておられました。ただ、これは曼荼羅のように四仏をそれぞれゆかりの深い方向に配置しているのでしょう。

ここでの四仏とは、西方の阿弥陀如来、北方の弥勒如来、東方の薬師如来、南方の釈迦如来です。弥勒は一般的には弥勒菩薩と呼ばれますが、ここでは弥勒如来として祀られています。

これらの像は、室町時代五重塔が再建されてまもなくの、享徳年中(1452~55)から寛正3(1462)年にかけて造られたものだそうです。

やはり南円堂の不空羂索観音坐像を見た後だったからか、こちらの四仏はこじんまりした印象でした。とくに文化財等の指定もないようです。ただ、奈良だから指定されていないだけで、他の地域ならば県や市の指定文化財ぐらいに入っていてもおかしくないレベルのものだと思います。

みなさんが弥勒如来像の辺りでしゃがんでおられるので何かと思ったら、心柱礎石の上に立っている様子が分かるんですね。ものすごい大きな柱です。

よくよく考えたら、五重塔は普段これだけ建物に接近することはできないので、もっと建物もよく見ておくべきでした。

外に出てみると、こちらの行列も長くなっていました。

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※五重塔の行列の様子

雨も上がってきましたので、もっといい時間になってきたら、相当並ぶのではないでしょうか。早めに行っておいてよかったです。まさに「先んずれば則ち人を制し、後るれば則ち人の制する所となる」ですね。

こちらは11月23日(火・祝)までとなっています。平日は比較的空いていると思いますので、ぜひみなさんも拝観してみてください。

興福寺五重塔特別公開データ

期間   :2021年10月9日(土)~11月23日(火・祝)

      ※2022年3月1日(火)~3月31日(木)も開催予定

開扉時間 :9:00~17:00

特別拝観料:1,000円

 

さて、この後は東大寺春日神社を参拝するのではないか、と思われたかもしれませんが、何と家に直帰です。四国八十八ヶ所のレポートがまだ4分の1しか終わっていませんので、余裕がないんですね。興福寺南円堂はこの日しか拝観できませんので、特別にチャレンジしたのです。というわけで、弾丸ツアーでしたが、興福寺特別公開のレポートでした!

さすがに国宝のデパート興福寺、まだまだ見るところがありますね。また時間があればゆっくりと訪れてみたいと思います。

というわけで皆さんも! Let's start the Pilgrimage West!

 

最終更新:2021.11.3