2023年5月7日(日)、比叡山ナイトウォークに参加してきました! 1週間ほど前から当日は大雨の予報でしたが、いったどうなったのでしょうか。前回の準備編に引き続き、いよいよ決行編です!
~回峰行の道を辿る~ 比叡山ナイトウォークに参加しました!(決行編)
2023年5月6日(土)、延暦寺会館に宿泊し、5月7日(日)の深夜2時に出発する比叡山ナイトウォークに参加しました。ナイトウォークというかわいらしい名前ですが、実は相当ハードな苦行でした。
ナイトウォーク前日(5/6)準備「行」
前回の記事では、当日までの事前準備と、前日に延暦寺会館に到着するまでをレポートしました。今回はまず、前日の準備「行ぎょう」にて触れていきます。
受付を担当されていたのは営業支配人のOさまで、この方もナイトウォークに同行されるそうでした。そこで、33人の参加者がいらっしゃることを聞いたのは前回も述べました。
私は到着も遅かったので、17時からの開講式に間に合うように、部屋に入って準備を整えました。準備といっても荷物の整理と、受付でいただいた封筒の中身の確認くらいです。
受付でいただいた封筒には、以下のものが入っていました。
・注意事項等の書かれた紙
・名札
・しおり「行者が巡る修行の道を辿る 比叡山ナイトウォーク」
・経本「一日回峰行のおつとめ」
・アンケート用紙
・延暦寺巡拝マップ「比叡山めぐり」
・喫茶れいほう割引券
なお、注意事項には、17時からの開講式に名札・しおり・経本を持ってくるように書かれていました。
さあ、いよいよ開講式です。
開講式
開講式は、17時から瑞峰の間で始まります。10分ほど前に到着すると、すでに半分くらいは席が埋まっていたでしょうか。席と言っても、ただの座布団です。最初は正座して待つことにします。他の方は、足を崩しておられる方が多かったように思います。
17時ちょっと前に、お坊さまが来られ、プロジェクターの用意をされました。何かビデオを見るようです。開始前に席はほぼ埋まりましたが、3分の1くらいかそれより少し多いくらいの方が女性だったでしょうか。私の右前の席だけが空いていました。
17時になり、支配人のOさまからご挨拶と、注意事項等の説明がありました。とにかく「ナイトウォーク」というお気軽な名前がついてはいるけれども、回峰行と同じところを歩く修行であるということが強調されます。これはなかなか大変そうです。一方で、以前は「一日回峰行」のような名前でやっていたら、集まりが悪かったので今の名前にしたというようなお話もありました。うむ、どうしたいんだろう。
また、今回は大雨の予報であるけれども、基本的に決行されるということもお話がありました。それは、千日回峰行では雨も風も雪も雷も関係ないからだそうです。
それではここで、しおりの内容をご紹介いたしましょう。まず、巡拝コースです。
東塔(根本中堂・大講堂・戒壇院・浄土院)
~西塔(にない堂・釈迦堂)
~玉体杉
~横川(横川中堂・恵心堂)
~日吉大社
~滋賀院
~無動寺谷(玉照院・大乗院・明王堂)
注意事項は以下のとおりでした。
修業であることを念頭に住職・係員の指示に従ってください
懐中電灯は頭部に装着するものは不可(肩から掛けられるのが望ましい)
荷物を持ちすぎないよう願います
携帯電話は電源をお切りください
次に、開講式を含めたスケジュールを掲載しておきます。
十七時 開講式
十八時 非食ひじき ※この後、開浴となります
二十一時 就寝
二時 出立
なお、非食と書いてありますが、実際には夕食をいただいております。また、出立後の休憩場所として、横川駐車場と滋賀院が書かれており、滋賀院にて朝食をとることが書かれていました。
予定では9時に延暦寺会館帰着となっており、10時半まで入浴が可能、チェックアウトは11時ということでした。
しおりのご紹介の最後に、「回峰行」について説明された部分を引用します。
相応和尚により開創された回峰行は、文字どおり、比叡山の峰々をぬうように巡って礼拝する修行です。法華経中の常不軽菩薩は出会う人々すべての仏性に礼拝をされました。回峰行はこの精神を受け継ぎ、山川草木ことごとくに仏性を見いだし礼拝するものです。回峰行者は、頭には未開の蓮華をかたどった桧笠をいただき、生死を離れた白装束をまとい、八葉蓮華の草鞋をはき、腰には死出紐と降魔の剣をもつ姿をしています。生身の不動明王の表現とも、また、行が半ばで挫折するときは自ら生命を断つという厳しさを示す死装束ともいわれます。
皆様にはその行者道を先達の元ご案内いたします。ハイキングではなく「行」としてご参加いただき比叡の霊気をご堪能下さい
うーん、ますます「ナイトウォーク」などといったお気軽なものではないということが分かってきました。ヤバいですね。最近歩いていないのですが、雨中、しかも夜の睡眠も足りない状況で回峰の道々を歩き切ることができるのか不安です。
営業支配人のOさまの注意事項の後は、ビデオを見る時間となりました。千日回峰行に関するビデオです。
私のような素人は、千日間連続で回峰行をするのだと思っていましたが、実際には7年もかけて行われるのですね。衝撃的だったのは、最初は笠も杖もなしで歩くということでした。なるほど、回峰行をやっている行者の方でも、杖を持てるのは数年してからということですから、私なんぞが金剛杖を持って歩くのはダメだったわけですね。疑問が一つ解けました。千日回峰行について詳しく知りたい方は、比叡山延暦寺のホームページをご覧ください*1。
また、このビデオの面白いところはなぜか松平健さんが松尾芭蕉に扮しておられることです。松尾芭蕉と千日回峰行はまったく無関係ですが、どうやらシリーズものドキュメンタリー番組のようです。おそらく三重テレビ放送で制作?・放映?された「芭蕉が詠む 祈りの心」*2だと思われます。今振り返って見れないのが残念ですね。あと、三重テレビって巡礼好きにはいろいろ面白そうな番組を作ってますね。
ちなみに、始まってから30分くらいしてから私の右前の席が埋まりました。年配の女性の方でした。もしかするとチェックイン自体が遅かったのかもしれません。
ビデオの上映が終わり、17時50分ごろに開講式が終了しました。18時から非食ですので、皆さんそのままの流れで食堂へ向かわれます。私も流れに乗りました。
開講式後
食堂と書きましたが、延暦寺会館にあるレストラン望湖です。一度ここで食事をしたことがあります。
適当に着席します。遠慮しておじさんたちの間に座りました。「いただきます」の前に、お坊さまから注意事項がありました。本来は食事をとらないということ、それゆえ「非食」となっていること、やはり本来は食事中には会話をしないことなどのお話がありました。まあ、修行なので当然食事中に会話をしないのでしょうが、お坊さまがそのようなお話をされたせいで、どなたも口を開かず、黙々と食べることになってしまいました。ちょっと寂しかったですね。
メニューは、おそらく精進懐石膳として延暦寺会館のホームページ*3に載っているものだと思われます。少々の差異はあるかもしれませんが。
ちなみに食前、食後の「いただきます」「ごちそうさま」ですが、いただいている「一日回峰行のおつとめ」に食前観・食後観が載っており、お坊さまの先唱に従い皆で唱えました。
その後は入浴です。食事の前には、入浴時も静かにしないといけないということをおっしゃっていましたが、さすがに大浴場ではお話している方がいらっしゃいました。どうやらご友人同士で来られている方もいるようでした。昼間のうちに境内を巡っておられたようです。さすが、土曜日が休みだとそういうことができますよね。ちなみに私は、午前中4時間授業をやってからここに来ているのでした。
ご友人同士で来られている方のお一人は、以前にも参加されているようで、いろいろお話を聞かせていただきました。横川までは結構平たい道を行くこと、最後の登りがキツイこと、歩きながら唱えるとされていた不動明王真言は、実際には唱えないことなどなどです。また、以前は個室はなく大広間での雑魚寝しかなかったそうです。それは仮眠もできなさそうですよね。
いやあ、情報がなくて不安だらけでしたが、いろいろ教えていただくとかなり心丈夫になりました。もう後はゆっくりと寝て歩き通すだけですね。
20時までには部屋に戻ったと思います。そこから翌日の身支度を整えて、すぐに就寝しました。大浴場のお風呂がかなり熱かったため、身体の熱がなかなか冷めませんでしたが。
ナイトウォーク当日(5/7)一日回峰行スタート
0時45分、目覚ましが鳴って起床しました。早く起きたのは、軽く朝食を食べておこうと思ったからです。前日の夕食はかなりあっさりしていましたので、体力が持たない危険性がありました。ハンガーノック現象になったらまずいですからね。
コンビニで調達していたパンをかじります。その後、トイレにも行っておきました。部屋にトイレがあるのはありがたいですね。四国八十八ヶ所75番札所の善通寺の宿坊いろは会館は、部屋にトイレがありませんので。おそらく、多くの宿坊は部屋にトイレがないように思います。
集合は1時45分、ロビーでした。1時35分ごろに降りると、すでに何人かは待っておられました。お坊さまも何人かいらっしゃいます。一人、小学生か中学生くらいの男子がいました。皆さん、山歩きの装いですね。やはりナイトウォークということで、ほとんどの人が私のような巡礼ヤーではなく山ボーイ、山ガールのようです。着ておられるものも、割と派手目のモンベルやノースフェースなどです。上着のように着ておられるものが、どうやら雨具のようです。私のようなレインポンチョはほとんど(まったく?)いませんでした。お坊さまたちは、お揃いのレインポンチョを着ておられましたが。
お坊さまの着ておられるレインポンチョがなかなか格好よく、よく教科書などで拝見する帽子もうすを被っている伝教大師さまのお姿のようです。欲しいなあ、どこで買えるのかなあと思いながら、結局お坊さまとはお話することができませんでした。意外とシャイなのです。
1時45分になり、Oさまが点呼をとられました。その後、同行してくださる先達の方のご紹介があり、注意事項の確認がありました。実は私は肩から掛けられる懐中電灯をわざわざ購入していたのですが、そのような大きな懐中電灯を持っている方は他にいらっしゃいませんでした。皆さん、手でちょっと持つような小さなものや、LEDのキーホルダーのようなものです。ただ、重かったとはいえやはり大きな懐中電灯は役立ちました。照光範囲が広いのです。
軽く体操をしましたが、2時になってもすぐに出発とはなりませんでした。何でも、もう少しすると少し雨雲が抜けて、雨脚が弱まるということでした。
5~10分ほど遅く出発したでしょうか。弱まっていると聞きましたが、十分な雨でした。
延暦寺会館から横川駐車場まで
2時10分ごろに延暦寺会館を出発して、横川よかわ駐車場には3時44分までには到着しています。Googleマップでは8.5kmの距離となっており、1時間54分で到着することになっていますが、実際はもう少し早く到着しています。なお、西塔さいとう地域を出てからは山道をマップ上で表記できないため、実際には通っていない車道上を通っていることになっています。ご注意ください。
まずは東塔とうどう地域から西塔地域を目指します。事前の説明では30分ほどだと聞いていました。出発するとすぐに闇の中に入っていきます。雨が降っているということもあり、ゆっくり進むというお話だったにも関わらず、先達の方はずんずん進んでいかれました。私はわざと最後の方につけることにしました。根本中堂前は通らず、戒壇院前を通ってそのまま西塔地域を目指します。お坊さまは拍子木のようなものを持っておられ、ところどころ立ち止まってカンカンと打ってから拝礼しておられました。私たちもそれにならいます。それゆえ、純粋に歩くだけとは異なり、かなり歩きにくいです。しかも雨のため、足元にも注意しておかなければなりません。実際、何度か水たまりに足を突っ込みました。
30分も経たないうちに浄土院まで到着しました。ここは、伝教大師御廟でもあります。割と最近に比叡山延暦寺の記事をアップしたため、よく憶えていました。
※日中の浄土院(2021.5.6撮影)
もちろん、山門は閉じています。外から遙拝するだけです。
ここからの道はよく分かっています。実際に私も2年前に歩いていますので。記憶をたどりながら前の方についていきます。にない堂をくぐり、直に釈迦堂に到着しました。ここは、西塔地域の本堂になります。皆さん、軒下に誘導され、般若心経を唱えるおつとめが始まりました。
※日中の釈迦堂(2021.5.6撮影)
しかし、雨と闇とで心の準備も追いつかず、何が何やら分かりません。
休憩などはなく、おつとめが終わるとすぐに出発しました。ここから奥の山中に入っていきます。私も歩いたと思うのですが、Googleマップでは詳しい道が分かりません。とりあえず、玉体杉を目印にするといいと思われます。
どうやら回峰行の山道は京都一周トレイル*4のルートになっているようで、お坊さまのお話ではゲリラ的に夜間歩いている人がいるそうです。実際、私たちも外国人数名とすれ違いました。要するに、勝手にナイトウォークしているわけですよね。そうすると、何かあったときに困りますし、何より、本当の回峰行者の邪魔になってしまう可能性があります。くれぐれも!ゲリラナイトウォークはやめてください。
玉体杉の場所からは、京都市内が一望できるそうです。あいにく、雨ですので何も見えませんでした。
経験者の方から横川までは結構平たいと聞かされていましたが、なかなかどうして、西塔から横川までは結構キツかったです。アップダウンもそこそこあるうえ、雨による悪路です。水たまりを避けるのにアスレチックのようなことをしなければなりませんでした。体力的にも厳しかったですね。
また、お坊さまが雨なのでゆっくり歩くとおっしゃっていた割には、かなりのスピードで歩いておられます。雨だからおイヤなんでしょう、早く終わらせようとしているようでした。
とにもかくにも、3時40分過ぎ、ようやく横川の駐車場に到着です。ここでは、トイレ休憩およびお茶のお接待がありました。
※車道を走る伴走車 お茶なども積んでいた
しかし男性と違い女性はトイレも大変です。まだお茶ももらってない方がいらっしゃったのに、お坊さまはさっさと出発しようとされていました。確かに、雨なので早く終わりたいですけど。
なお、Oさまからこの後の行程の軽い説明があり、一気に坂本まで降りてからまた一気に登ってくるというお話の後、ここで「辞めておくという方はいらっしゃいますか」との問いかけに、お一人の方が手を挙げられました。実際、ここまででもかなりキツかったですからね。体力に自信のない方はそうする方が賢明でしょう。もっとゆっくりならば完走できたかもしれませんが。というわけで、参加者が、1人減って32人となりました。
横川地域から日吉大社まで
横川駐車場を3時45分ごろに出発して横川中堂・恵心堂を通り、そこから下って日吉大社東本宮には5時20分ごろに到着しました。なお、山道が表示されないため、Googleマップは見当違いのところを歩いています。
さて、横川の駐車場から伽藍の中心部へと進んでいきます。すぐに、横川中堂が出てきました。
※日中の横川中堂(2021.5.6撮影)
そこから上の方に登っていきます。すると、道の脇に避けるように言われました。何と、現在回峰行を行っている行者さまがいらっしゃったのです。すれ違ったわけでもなく、別の方向に進んでいかれたのでお顔を見ることもできませんでしたが、非常に貴重な経験だったと思います。読経の声が聞こえたのと、提灯のようなものの明かりが見えただけでしたが、神秘的な邂逅でした。
上に登った後は右の方に進みました。恵心堂の方へと進んでいきます。恵心というのは、平安時代後期の僧、源信のことですね。
ただ、恵心堂には近づかず、道の上で遙拝して通り過ぎました。とにかく、先を急ぐ感じです。
この後の道がGoogleマップ上でも表記されているのかされていないのかちょっとよく分からないため、ルートも正確ではないように思います。
日吉大社奥惣社に寄ったのか寄ってないのか、ちょっと判別しかねます。ただ、坂本方面に降りていったことは間違いなく、結構速いスピードで下っていきました。
4時半くらいだったでしょうか。ここは確実に行ったことを憶えています。三宮・牛尾宮とその背後にある金大巌に到着しました。ちなみにここに着く直前、滑って転んでしまいました。尻もちまでついたのはこの時だけでした。
また、結構道が細くて怖かったため、懸け造となっている三宮の脚の下をくぐって行こうとして、頭を打ってしまいました。なかなかの勢いだったため、結構痛かったです。
ここが日吉大社のご神体だとの説明があり、おつとめをすることになりましたが、皆さん庇の下に入っていてバラバラの方向を向いておられました。そこで、お坊さまが後ろの岩がご神体だと説明してくださいました。詳しくは、日吉大社の境内案内*5をご覧ください。
なお、ここは少し開けていて、眼下に琵琶湖を一望できます。また、夜明けが近いのかすでにかなり明るくなってきていました。懐中電灯もいらないくらいです。ただし、この後また山道に入っていったので、完全にお役御免というわけではありません。
さあ、いよいよラストスパートです。
どんどん山道を下り、5時過ぎには日吉大社の境内地に入りました。ビデオでも見た、山から下りてくる石段を下りました。
5時20分ごろ、日吉大社東本宮楼門前に到着です。
※日吉大社東本宮楼門
ここでいったん後続の到着を待っていました。すでに夜は明けています。ここでもまたお茶のお接待がありました。しかしその後、非情の宣告がありました。
何と、雨雲レーダーによると7時ごろからまた大雨となるため、本来なら休憩するはずの滋賀院には立ち寄らず、このまま最短ルートの本坂を登って延暦寺会館に帰るというのです。私は結構休憩なしで歩く方だとはいえ、自分よりかなり速い人のペースで歩いたうえに、エネルギー補給のチャンスもなく比叡山を登るとは……。思わず「えっ」と言ってしまいました。
しかし、決定は覆せません。またここでも脱落者が募られましたが、ここでは脱落者は出ませんでした。そして、トイレに案内されます。案内してくださったお坊さまは経験が浅かったのか先輩のお坊さまに心配されていましたが、無事にトイレにたどり着きました。そして、やはり女性は時間がかかります。私はその間に、飲み物がなくなっていたので自動販売機で購入しておきました。登る分くらいは何とかまかなえそうです。
日吉大社から延暦寺会館まで
5時30分ごろに日吉大社を出発し、延暦寺会館には7時ごろに到着しました。なお、Googleマップはまったく別の道を通っております。私が登っていったのは、本坂と呼ばれる登山道です。
この本坂ルートですが、「本」がつくだけあって本来は表参道の役割を果たしていたそうです。比叡山の塔頭が坂本エリアに多いのも宜なるかなというところですね。
しかし、このルートは一気に上がるため傾斜が急なのも特徴です。登り出してから10分ほどで、完全な山道に入っていきました。すると、徐々に遅れる方が出てきました。割と身体の大きな熟年の男性が最初に脱落されました。私はハンガーノックではないかと心配しましたが、その後その方がどうなったのか分かりません。
結構前の方はどんどん進んでいきます。お坊さまも、早くゴールしたいのでしょう。一方で休憩なく歩いているため、脱落者もどんどん増えていきました。
私も靴紐が解けていたため、一度立ち止まってしまいました。急にしゃがんだので、後ろの方にご迷惑をかけてしまいました。下りだったらヤバいところでした。その後急いで後を追いましたが、ついてくださったお坊さまは「自分のペースで大丈夫ですよ」と言ってくださいました。しかしまあまあ頑張った甲斐もあり、途中に一か所だけあったトイレで休憩している先頭集団に追いつきました。
お坊さまのお話では、ここからは30分くらいとのことでした。なお、このトイレが地図上でどこにあるのかがちょっと分からないのです。
その後、登る前に私が予想していたとおり、法然堂の前に出ました。ここからはもう延暦寺会館はすぐです。しかし、傾斜が急なこと急なこと。60度くらいはあるんじゃないかと思いました。もはや隊列もなくなり、みなさん自分のペースで登っていかれます。登りに割と強い私は最後のラストスパートを頑張り、だいたい7時くらいに延暦寺会館に到着しました。
歩きを終えて
いやあ、キツかったですねえ。延暦寺会館の前では、ガッツポーズや記念撮影をしておられる方もいらっしゃいました。私は心の中で小さくガッツポーズをし、中に入りました。
※延暦寺会館(2023.5.6撮影)
中に入ると、スポーツドリンクとお弁当のサービスがありました。このお弁当は、本来滋賀院で食べるはずだったものです。簡単なおにぎりでしたが、この時は何よりのご馳走に思えました。
フロントで鍵をいただき、エレベーターに向かいます。かなり足にきていました。私よりやや遅れて到着された女性の方とエレベーターで同じになりました。お互いの健闘を讃えあいます。女性いわく、「最後の坂で心が折れそうになりました」とのことでした。明らかに山ガールっぽい方でしたが、それでもキツい坂だったわけですね。
この後、自分の部屋に戻りまずは腹ごしらえをしました。おにぎりは何とキノコの入っているものでしたが、気にせずに食べることができるくらい、エネルギーを欲していました。これ、お茶だけで乗り切ろうと思ったらまずは身体の代謝の改革をしておかないとダメでしょうね。それゆえ、実際の回峰行者は事前に断食などをするのでしょう。私のように燃費の悪い身体はもう、すぐにエネルギーを欲します。
その後は、ある程度落ち着いてからお風呂に向かいました。雨の中歩いたことと、靴のサイズが悪かったのか、爪の中が何か所か血マメのようになっていました。しかしまあそんなに痛くはなかったので気にせずにお風呂に入りました。
お風呂から上がって脱衣所でくつろいでいると、私と同じくらいの年齢の男性に、西塔まで歩くとどれくらいかかるか聞かれました。この日の未明に歩いた感じだと30分くらいかかっていたので、そう答えますと、どうやら坐禅体験をやりに常行堂まで行こうと思っておられるようでした。うーん、天気がよければ私も行ってもいいのですが。何分、ゴールしてからも雨は降り続いています。彼のやる気に対して、すごいですねえと言いながら私はパスすることにしました。まあ、私は関西在住でいつでも比叡山に登れますからね。
その後も部屋でゆっくりすることもなく、早く家に帰った方があとあと楽だと思い、9時20分ごろには延暦寺会館を出発しました。
9時30分発のケーブルカーに乗り、下界を目指します。
※「ケーブル延暦寺駅」
結局最後の最後まで雨にたたられながら帰ることになりました。
※「ケーブル坂本駅」から外を望む
トイレにも行けないくらいの大雨です。
この後は行きと真逆のルートをたどり、JRの「比叡山坂本駅」から電車を乗り継ぎ、JR「茨木駅」には昼前に到着しました。後は、家でゆっくりできそうです。
今回、ナイトウォークに参加してみて、私が山ガールや山ボーイではないということが改めて認識されました。そうです、私はハイキングやトレッキングがしたいわけではなく、ただ巡礼がしたいだけなのです。そんな私にどのような肩書きをつけるのがいいか、ずっと考えていたのですが……。
ついに、思いつきました。それは、「巡礼ヤー」です! いいでしょう、「レイヤー」って響き。よくよく考えれば、巡礼の際には菅笠を被ったり、金剛杖を持ったりしているわけですからね。コスプレイヤーに近いものがあります。そして、あくまでこちらの「レイヤー」は「礼ヤー」です。そう、「巡礼ヤー」なのです。
我ながらいい肩書きを思いついたものです。今後作成する名刺には、「巡礼ヤー」と書いていきたいと思います。
というわけで皆さんも! Let's start the Pilgrimage West!!
巡礼振り返りデータ
つづく巡礼ヤーのためにデータを振り返っておきます。
宿情報
延暦寺会館
本館お部屋タイプおまかせ
宿泊費:28,000円(※ナイトウォーク参加費用含む)
室内に冷蔵庫・トイレあり
WiFiあり
大浴場あり
洗濯機・乾燥機なし
アクセス:バス停から約5分
コンビニ:麓までなし
ナイトウォーク開催時ということで、特別体制だった。お坊さまが大勢いらっしゃったが、普段はどうか分からない。広い会館に宿泊者が33名しかおらず、ゆったりしていた
距離と歩数
ASUS VivoWatch BP(HC-A04)
カロリー:1,481kcal
距離 :21.5km
歩数 :31,111歩
*1:比叡山延暦寺ホームページ「比叡山の修行」2023.8.9閲覧
*2:BS12「芭蕉が詠む 祈りの心」2023.8.9閲覧
*3:延暦寺会館ホームページ「精進料理を楽しむ」2023.8.9閲覧
*4:京都市観光協会京都観光オフィシャルサイト「京都観光Navi『京都一周トレイル(北山東部コース)』」2023.8.9閲覧
*5:日吉大社ホームページ「境内案内」2023.8.9閲覧