この日は12番焼山寺につづく2つ目の難所、20番鶴林寺と21番太龍寺に挑みます。四国八十八ヶ所歩き遍路の旅、6日目のレポートです!
歩き遍路 6日目 「加茂谷」バス停から「阿瀬比」バス停まで
歩き遍路6日目、7月26日(月)のレポートです。まずは、計画表と実行程表をご覧ください。
歩き遍路最大の難所である12番焼山寺は3日目にクリアしましたが、この日回るのは2番目に厳しいと言われる20番鶴林寺、3番目に名前が挙がる21番太龍寺の山寺コンビです。古来「一に焼山(※12番焼山寺)、二にお鶴(※20番鶴林寺)、三に太龍(※21番太龍寺)」と呼ばれた歩き遍路の2つの難所、1日で回り終えることができるのでしょうか。
6時30分代のバスに乗るため、この日は4時に起きました。前日にコンビニで購入していた朝食を食べます。6日連続でファミリーマートの朝食ですので、さすがにちょっとワンパターンです。四国は県庁所在地レベルの大都市でないとセブンイレブンがないんですよね。
「加茂谷」バス停から20番札所鶴林寺まで
7時14分に「加茂谷」バス停を出発して、20番札所鶴林寺には9時25分ごろに到着しました。朝早く元気だったのとGoogleマップでは表されない山道を通っていたので、Googleマップよりかなり早く鶴林寺に到着できました。
朝6時にホテルを出発し、まずは買い出しのためにファミリーマート阿南富岡店へ向かいます。歩いて10分弱かかるこのお店が最寄りというのが、スーパーホテル阿南・市役所前の弱点ですね。
この日は山寺に登りますので、昼食、凍った麦茶にスポーツドリンク、すぐ飲めるスポーツドリンク2本、ウィダーインゼリー2個とたくさん購入します。重いですが、途中で物資が足りなくなるよりはマシです。
というのも、ハンガーノックという現象が心配だからなのです。みなさんはハンガーノックをご存知ですか? 長時間運動をつづけることで肉体のエネルギーが枯渇し、体が動かなくなってしまう現象のことです。脳機能も低下するので、意識が朦朧として正常な判断が下せなくなってしまいます。山で遭難したときにその場からできるかぎり動かないように言われているのは、このハンガーノックを避けるというのも理由の一つです。
真夏のお遍路にとって、熱中症とともに怖いのがこのハンガーノックです。スポーツドリンクではなくお茶やお水しか飲まず、またアメなどによる糖分補給を怠ると、このハンガーノックにかかって動けなくなってしまうかもしれません。ですから、私は糖分の取りすぎということを自覚していながら、お遍路の際にはお茶や水ではなくスポーツドリンクを常用しているのです。
荷物が重くなってしまうとしても、命の危機にさらされるよりははるかにマシですよね。
さて、話が逸れましたがたくさん買い込み重くなったリュックを背負って、バス停へと向かいます。前日は「阿南市役所前」で降りましたが、その一つ手前のバス停の方が近いので、そちらへ向かいます。「駅前通り」バス停です。
※「駅前通り」バス停
「阿南市役所前」は6時37分ですが、ここだと6時39分です。それでも、早め早めの行動の結果、このバス停で15分以上待つことになりました。ベンチもありませんし、花壇の縁に座るしかありません。
6時39分から2~3分遅れでバスがやって来ました。小さなバスです。終点まで行く人は誰もおらず、7時10分ごろに到着した「加茂谷」で降りたのは私だけでした。
そして、前日に悩んでいた問題がここで解決です。結局、アナウンスで「加茂谷」と告げられたバス停で降りると、そこにあるのが「お松権現前」だったのです。どうやらこのバス停の表記が古いのか新しいのか、相違が生じているためにややこしいことになっているようです。
※「加茂谷」バス停
朝日がとてもまぶしく、この日も暑くなることを予感させます。
バス停からは加茂谷中学校の敷地の南側を西へ進んでいきます。ちょうど若い女の先生が歩いておられ、挨拶してくださいました。挨拶はやはりうれしいもので、元気が出ます。
少し先にバスが停まっており、運転手さんがどこに行くのか尋ねてこられました。「鶴林寺です」と答えると意外そうな顔で、どうやらここから太龍寺方面へ行く人はそこそこいらっしゃるようなんですね。鶴林寺に行く人はこんなところでは降りないようです。
まあ、私は私で自分の道を行くだけです。この辺は道路工事が行われており、加茂谷川の堤防のように高くなっています。その新しい道を進んでいる間に、中学生男子2人とすれ違いました。1人目は挨拶してくれましたが、2人目は挨拶してくれませんでした。こちらから挨拶したんですが、シャイなんでしょうか。
そのまま道なりに進んでいくと、すぐに那賀川にぶち当たります。川沿いに150メートルほど歩くと、十八女大橋さかりおおはしです。ここで7時31分でした。
※十八女大橋
十八女と書いて「さかり」とは読めませんよね。
この橋、一応2車線ですが、かなり狭くて歩道もありません。結構高さがあるので、車が来たらどうしようというのと、落ちたらどうしようというのと二重の意味で怖かったです。
ただ、景色は絶景です。
※十八女大橋から下流側を望む
※十八女大橋から上流を望む
橋を渡ってからは、那賀川の北を走る県道19号線を西へ進みます。川に沿って大きく蛇行しているので、目的地までの距離が無駄に長くなりますね。
現在廃校になっている大井小学校のトイレが整備されていて、お遍路さんは利用することができます。県道19号を歩いていれば看板も出てくるので、迷うことはないと思います。トイレは古いものですが、清潔にしてくださっているのでありがたいです。時刻は8時23分でした。
※旧大井小学校
トイレは上の写真では暗くなっている奥の方にあります。写真で見ると周りが明るすぎてその場所だけおどろおどろしくなっていますが、実際にはそんなことはありません。まあ確かに、学校のトイレというのは怪談にはつきものではありますが。
トイレの外には輪袈裟をかけておく場所も作ってくださっています。輪袈裟は食事中やトイレのときには外さないといけないんですよね。私は歩いているときには輪袈裟も数珠もつけていないので、そのまま入りました。
トイレを済ませて校庭の方に戻ります。校庭をそのまま奥の方へ歩いていっても鶴林寺の方へ行けるようなのですが、私は一度県道に戻ってから、遍路道に入っていきました。ここで8時28分です。
※遍路道の案内標識
この辺りは案内標識がきちんと整備されており、道に迷うことはありません。これも大変ありがたいことです。この道に入ったところでおじいさんが庭で作業をされていたので、ご挨拶しました。
少し登っていくと地蔵堂がありました。8時29分の撮影です。
※地蔵堂
どうやら、大井小学校の校庭を通るとこの辺に出てくるようでした。
さらに登ると、下の写真の道標のところで八幡神社までの車道に突き当たります。どうやらこの車道に沿って遍路道はつづいているようです。ここで8時31分でした。
※中務茂兵衛建立の道標
中務茂兵衛は江戸時代末期の慶応2(1866)年に22歳で四国遍路を始め、78歳で亡くなるまでに279巡の四国遍路を達成した方です。何と、1年で5巡程度している計算になります。あちこちに道標を建ててくださったということで、これもその一つなんですね。
この辺りはまだまだ山登りというほどではありませんが、結構傾斜が急です。さらに少し登った先に、鳥居が出てきました。八幡神社の鳥居ですね。ここで8時33分です。
※八幡神社鳥居
鳥居の奥に進むとまた車道に合流します。鳥居から歩くこと2分、八幡神社の本殿らしき建物に到着しました。
※八幡神社本殿
この後、道はどんどん山道になっていきます。なお、この道は本来、20番札所鶴林寺を打ち終わった人が、21番札所太龍寺を目指して歩いていく道です。ですから私は、逆打ちの人と同じように進んでいっているということになります。
山道は、八幡神社から約200メートルほど西方の地点でいったん終わり、県道283号線に合流します。実はここまでの登りもまあまあキツイです。しかし県道を歩くのは本当に少しだけで、すぐにまた左の山道へ入っていきます。位置的には、鶴林寺の南東400メートルほどのところでしょうか。
この後の登りはかなりキツイです。さすがに難所の一つですね。
※照蓮建立の道標
途中、江戸時代の照蓮という人が建てた道標がありました。照英ではないです。上の写真からもかなり山深いということがお分かりいただけるでしょう。ここで8時50分です。
さらに山道を歩くこと30分以上、ようやく建物が見えてきました。
※鶴林寺の建物
この上に登ると、右側に女子トイレがあり、境内に到着します。上の写真の建物はおそらく宿坊です。登り切ったところで思わず「よっしゃ、着いたー! ここに出るんか!」と叫んでいると、宿坊の前にいらっしゃった職員らしき女性の方と、思わず目が合ってしまいました。ちょっと恥ずかしかったです。
この宿坊のあるところは伽藍の一番低いレベルで、宿坊の反対側の方に進むと山門や駐車場があります。手水舎の近くにベンチがあったので、そこでお参りの準備をしました。笈摺おいずるを着て輪袈裟、数珠を装着します。
本堂までは、少し石段を登っていかないといけません。本堂の右側には、立派な三重塔があります。
※三重塔
江戸時代後期の文政6(1823)年に建立されたそうで、侘びた佇まいが幽閑な山寺にマッチしています。境内案内図や見所については、四国遍路聖地巡礼のホームページ*1をご覧ください。
※本堂
本堂で納経を済ませます。鶴林寺の名前のとおり、鶴の像が左右を守っています。
本堂から降りてくると、下の方が何だか少し騒がしいことに気がつきます。15~16名くらいの、団体さんです。
これは大変です。納経所が混むに決まっているからです。急いで大師堂へ向かいます。大師堂は本堂より下のレベルで、護摩堂と納経所に挟まれています。しかし慌てていたので、大師堂の写真を撮るのを忘れてしまいました。
※護摩堂 左の大きな建物が大師堂
気もそぞろになりながら大師堂で納経を済ませます。急いで納経所へ行きましたが、やはり遅かったです。団体さんの納経はもう始まっていました。
しかし、納経所の中に入ると、団体さんのツアーコンダクターの方が気をつかってくださり、「先にやってあげてください」と言ってくださいました。ラッキーでした。
納経所のおばさんから、車かどうか聞かれます。「歩きです」と答えました。すると団体の方からも「大変やね」とねぎらっていただきました。
ちなみに鶴林寺では駐車場代をお支払いすると、交通安全のステッカーをもらうことができます。私は前年に車で参拝した際にステッカーをいただき、今も車の後ろに貼っています。
無事に参拝が終わり、また準備を整えます。飲み物を買いたかったのですが、どうやらここでは売っていないようです。また、帰りは足にかかる負担を減らすために車道を通ろうと思っていたので、山門の方へと向かいました。
※山門
駐車場でトイレをお借りし、次の太龍寺へ向けて出発です。
20番札所鶴林寺から21番札所太龍寺まで
10時ごろに20番札所鶴林寺を出発して、21番札所太龍寺には12時30分ごろに到着しました。Googleマップよりは速いですが、ここも表記されない山道を通っています。
鶴林寺の山門から駐車場に進み、トイレの前を下っていきます。
※鶴林寺駐車場とトイレ
ここには自動販売機があるかと思ったのですが、ありませんでした。当分、飲み物の補給はできません。県道146号線を下っていくと、やがて県道283号線へ突き当たります。ここで10時29分でした。
※県道283号線との交差点
左方面に進むと19番札所の立江寺、右方面に進むと21番札所の太龍寺ですね。私は右へ進みます。
さらに下っていくと、除草作業をやっておられた方々が休憩しておられました。挨拶を交わします。ずっと何か激論を戦わせておられたのですが、私が通り過ぎてから再開した議論を耳にしたところでは、どうやら遭遇したハチがスズメバチなのかクマンバチ(クマバチ)なのか争っておられたようでした。
そこから少し下に行ったところに、鶴林寺への登山道入口があります。ここで10時45分でした。
※鶴林寺への登山道入口
右の道を上へと登っていくと鶴林寺です。行きはここを登っていきました。
この入口のすぐ下には、八幡神社からつづいていた山道があります。10時46分です。
※八幡神社からつづく山道の入口 右下の光っているのは私の指
この後の車道は大きく蛇行しているので、ここからは山道を下っていくことにします。
※八幡神社からつづく山道
本格的な山道です。道標らしきお地蔵さまも建てられています。行きは登るのに必死で写真を撮っていなかったのですが、帰りは少し写真を撮っていました。上の写真で10時52分でした。
八幡神社を通り過ぎて車道まで出てくると、絶景が広がっていました。方角的にはあれが太龍寺山なのでしょうか。
※車道からの景色
鳥居のところまで戻ってきたのは11時ちょうどのことでした。
※八幡神社鳥居
ここからさらに下り、県道19号線まで降りていきます。降りてすぐにある大井休憩所の目の前に、謎の石碑がありました。ここで11時5分です。
※服部因幡守・源啓元の石碑
ここから150メートルほど南下したところで橋を渡ります。なお、この橋の北詰に自動販売機があります。ようやく飲み物を買うことができました。ここから先、太龍寺まで自動販売機はありません。
これから渡る橋は水井橋と言います。ここで11時16分です。
※水井橋
……怖ろしい橋です。歩道レベルの細さですので、車が来たら橋の下に落ちるしかありません。高さは朝通った十八女大橋よりもあります。手すりも低いので、真ん中を通っていきました。もちろん、景色はスゴイですが……。
※水井橋より上流を望む
※水井橋より下流を望む
橋を渡り終わると、道は大きく右に曲がります。50メートルほど進んだ正面には、お地蔵さまが祀られていました。ここで11時20分でした。
※地蔵尊
道はこのまま真っ直ぐつづく県道283号線と、上の「まわり道」の看板どおりに左へと入る県道282号線に分かれます。50メートルほど進むと、右側に太龍寺への登山道入口がありました。
登山道とはいえ舗装されており傾斜も緩やかです。しかし車の入道は禁止されているので、とてもいい雰囲気の遍路道となっています。
しばらく登っていくと、大学生くらいの若い男女がいました。女性の方は髪の色がかなり明るく、何かを持ったまま立っています。一方、男性の方は必死に岩にへばりついていました。「何をされているんですか?」と聞くと、カタツムリを探している、とのことでした。おそらく研究で使うんでしょうね。
それにしても、こんな薄暗い山道の岩陰にカタツムリはいるんでしょうか。どちらかと言うとカタツムリは人里に近いところに多いような気がします。私も素人なので口は挟みませんでしたが、実際、2日目に板野町の田園地帯を歩いていたときはやたらとカタツムリの死骸が歩道に落ちていました。
2人と別れ、さらに登ります。とてもキレイな水が湧いているところがありました。ここで11時40分です。
※登山道の泉
この近くに、十二丁の丁石がありました。
※十二丁の丁石
ここから2分ほど歩いたところに、遍路休憩所がありました。四阿あずまやの近くで、白衣を着たおばあさんとその息子らしき人が休んでおられます。ご挨拶を交わしました。私は太龍寺で1時間程度過ごしましたが、お寺ではお二人とお会いしませんでしたので、かなりゆっくりなペースで登っておられたのでしょう。
この休憩所のすぐ近くには若杉山辰砂採掘遺跡という国指定史跡もありました。
※若杉山辰砂採掘遺跡の説明板
さらに歩くこと6分、土砂崩れがあったと思われる場所に出ます。
※土砂崩れ?
この切株が落ちていたかと思うと、怖いですね。
※太龍寺への山道
この後、道は完全な山道になり、どんどん傾斜が急になっていきます。上の写真で11時57分です。
そこから8分で、二十一丁の丁石に着きました。
※二十一丁の丁石
この後、道はいつの間にか山腹の駐車場から登ってきた道と合流していたようでした。合流場所にはまったく気づきませんでした。
実は「加茂谷」バス停からそのまま県道28号線を南下していくと、民宿坂口屋の前に出ます。ここには駐車場もあり、車を停めて東側から太龍寺へ向かって登っていくことができるのです。しかも、途中までは車で登っていくことも可能で、昨年私はこのルートで山腹の駐車場に車を停め、30分ほど歩いて太龍寺まで到達したのでした。
おそらくこの二十七丁の丁石は駐車場から上がってきた場合も見ることができたように思います。ここで12時28分、山門はもうすぐです。
※二十八丁の丁石
そこから1分もかからずに山門前に到着です。
※太龍寺山門が見える
山門の下には三丁の丁石があります。これはおそらく本堂まで三丁という意味でしょう。
※三丁の丁石
実はここから本堂までまだ結構あるんですよね。
※山門
バイクはここまで登ってくることができ、山門の内側に停めることができます。
山門から歩くこと4分、伽藍の入口に到着です。
※伽藍の入口
写っているのは護摩堂です。「西の高野」と呼ばれるだけのことはあり、伽藍は結構広い範囲に散らばっています。境内案内図や見所については、四国遍路聖地巡礼のホームページ*2をご覧ください。
本堂は鐘楼門をくぐった先にあります。
※鐘楼門
本堂までは麓から歩いてきた場合はかなり遠いですが、ロープウェイ乗り場からだとすぐです。写真を撮りながらなので正確ではありませんが、護摩堂から5分くらいかかって到着しました。
※本堂
連休明けの月曜日で境内には誰もおらず、静かに納経することができました。次の大師堂は少し戻ります。
※大師堂
大師堂の前で庭園の整備をしている業者の方がいらっしゃいました。2回挨拶しましたが、2回とも無視でした。ちなみに納経所の前にも別の方がいらっしゃいましたが、この方はすぐに挨拶を返してくださいました。
納経を済ませ、護摩堂の隣にある納経所へ戻ります。納経所にいらっしゃったのはおじいさんでした。
かなり耳が遠い方で、私が「大師納経をください」と言っても聞こえなかったようで、何回か言い直しました。後ろで別のお仕事をされていた孫世代の女性が見かねていろいろと手伝ってくださいました。ここから下っていく遍路道について聞こうと思っていたのですが、これでは有力な情報は得られそうにないですね。
とにかく、これで太龍寺の参拝は終了です。時刻はもう13時を過ぎていましたので、昼食を取ることにしました。納経所の前にあるベンチに座り、ファミリーマートで買ったお弁当をほおばります。俵結び弁当がなかったので、大きなおにぎり2つのお弁当です。
食べ終わってから自動販売機で飲み物を購入し、いよいよ下山開始です。
21番札所太龍寺から「阿瀬比」バス停まで
21番札所太龍寺を13時30分ごろに出発して、「阿瀬比」バス停には15時24分ごろに到着しました。2時間弱かかっています。なお、Googleマップでは38分となっていますが、太龍寺から下の実質的な出発点までは1時間以上かかると思われますので、まあまあな速さで歩いていたと思います。私は舎心ヶ嶽に登りいわや道という遍路道に入っていったのですが、この道はかなり危険な道とされています。一方で、Googleマップの道はほとんどが車も通れる道なので、安全に歩きたい方にはこちらをお勧めします。
Googleマップと異なる太龍寺からの下山ルートですが、四国遍路聖地巡礼のマップ*3によるとロープウェイの駅の方からいったん舎心ヶ嶽方面へ進み、そこからは南に下って国道195号線に出るルートと、東に向かって直接阿瀬比集落を目指すルートの2つがあります。私がバスに乗るのは「阿瀬比」バス停ですから、最短ルートで行けそうな東側のルートを通ることにしました。
納経所前のベンチから本堂の方へと戻り、ロープウェイの「太龍寺駅」方面へ下っていきます。ここで13時34分です。
※ロープウェイ「太龍寺駅」
この駅の近くには、舎心ヶ嶽の遙拝所がありました。
※舎身ヶ嶽遙拝所
あの山の方へ向かうということなんでしょうか。実際、ここからの山道はいったん下った後、結構急な登りとなっていきます。山を下りたいのに、また登るとは……。
山を登り始めると、四国八十八ヶ所のミニ巡礼がありました。下の写真は1番霊山寺の写しです。ここで13時36分でした。
※1番霊山寺の写し
霊域の始まりを示す石柱も建っています。13時44分です。
※霊域の始まり
数メートル間隔で置かれているとはいえ、88番までは結構遠いです。88番大窪寺の写しの石仏に到着したときには、13時48分になっていました。
※88番大窪寺の写し
この辺りには祠もあり、舎心ヶ嶽の由来なども書かれています。
そして、舎心ヶ嶽の弘法大師像がこれです。
※舎心ヶ嶽の弘法大師像
※弘法大師像の建つ岩場
断崖絶壁の岩場にあり、鎖を使って行かないといけないというのは、もはや完全に修験道の世界です。命知らずな方はチャレンジしてみてください。
実は、横から近づけるルートもあります。
※横からのルート
しかし、いくら道があるとは言っても、落ちたらかなりの確率で死ぬような道です。高所恐怖症の私はこれ以上近づくことができませんでした。
さて、ここからは東のルートを通って阿瀬比集落を目指します。完全な山道を通ることになります。そして、どうやらこの遍路道はいわや道と呼ばれているようです。危険だということを注意喚起する看板がありました。時刻は13時51分です。
※いわや道に関する注意喚起の看板
うーん、不安を駆り立てるだけの看板ですね……。まあ確かに世の中には半袖半ズボン、サンダルで富士山に登ろうとする無謀な方もいらっしゃるようですから、注意喚起は必要ですが……。
しかし実際、山道である遍路道は危険なところも多く、死者が出たこともあるそうです。これは人伝てに聞いた話なので真偽の程は分かりませんが、遍路道を整備する協会の会長も山道で遭難し、1週間後に遺体で発見されたということがあったそうです。愛媛で1日雨中に同行したKさんがおっしゃっておられました。
ただこのときはそのような怖ろしい話は知りませんし、最短ルートでもありますから、突撃あるのみです。15時48分のバスに乗りたいと思っていたので、2時間ならギリギリというところですね。
入って早速、例の中務茂兵衛の道標がありました。やはり歴史ある遍路道のようです。
※中務茂兵衛の道標
さらに進むと、今度は全遍路道で唯一とされる笠塔婆形の道標もありました。ここで14時3分です。
※笠塔婆形の道標
江戸時代中期の元文2(1737)年、和泉屋丈兵衛が建立したそうで、「左 ふだらく山 右 ほんだうへすぐ道」と書いてあるそうです。ふだらく山というのは太龍寺山の別称とのことで、山頂へとつづく道なのでしょう。
その後も結構険しい道を通ります。下の写真のところは、上に向かって進んでいきました。左はもうすぐ斜面で、右側の少し高いところを通るか、真ん中の細いところを通るか、アスレチックな道ですね。14時11分でした。
※アスレチックな道
道標や壊れた丁石が複数あるところもありました。すでに14時30分です。
※石造物群
道標には「ひだり いわや へんろみち」と書いてあります。別の面には、「これより六丁下り」と書いてあるそうです。ただ、手の印のとおりに左に行こうと思っても、柵がしてあるのでそちらには進めません。直進していく形になります。
道標から少し進むと、倒木がありました。これくらいなら問題なく越えることができます。ここで14時38分でした。
※遍路道の倒木
危険と言われていた道ですが、実際はそれほどでもなく、むしろ案内標識がたくさんあるので心細くありません。
阿瀬比集落まで残り1.8kmの地点で14時42分です。
※残り1.8kmの案内標識
残り1.2kmの案内標識です。15時ちょうどになっていましたので、0.6km進むのに18分もかかっています。
※残り1.2kmの案内標識
上の地点から2分後には三十九丁の丁石がありました。太龍寺から三十九丁ということでしょう。
※三十九丁の丁石
その後、阿瀬比集落までの距離表示ではなく22番札所平等寺までの距離表示に変わりました。ここで15時14分です。
※平等寺まで残り5kmの距離表示
その後5分くらい歩くと、急に開けたところに出ました。阿瀬比集落に到着したようです。
集落に入って唯一写真を撮っていたのが下の建物です。Googleマップで見てみると、おそらく、あせび観音庵だと思うのですが……。ちょっと定かではありません。ここで15時21分でした。
※あせび観音庵?
ここから少し東に行ったところが県道28号線です。しかしこの辺は県道と言っても、車の離合も難しいくらい細い道です。県道28号線に出てから右折し、50メートルほど南下すると国道195号線です。
※国道195号線との交差点
上の写真は北から見たところで、そのまま直進すると平等寺方面への遍路道になります。車の場合は左に進みます。右に200メートルほど進むと、道の駅わじきがあります。
バス停はここから左に少し進んだところにあるはずです。例によって、「バス停どこ~」状態ですね。
※「阿瀬比」バス停
……ありました。15時25分ごろ、「阿瀬比」バス停発見です。写真は15時33分に、国道195号線の南側、来た方角である西を向いて撮影しました。ここも片側にしかバス停がなく、「川口営業所」に向かう道路側に建っています。「阿南市役所前」方面に向かうには、南側のバス停の反対側で待っておかないといけません。これも手を挙げないと、バスを待っていると認識してもらえないかもしれないですね。
北側に渡り、バスが来る方角をじっと見つめます。国道195号線は奥へとつづいており、県道28号線は右へ入っていきます。右奥に見える山の方から下りてきたのでしょう。
※バス停の向かいからバスを待つ
15時48分、調べていたなかで一番早いバスが時間どおりにやって来ました。2日ぶりの徳島バスです。ここから「阿南市役所前」を目指します。
歩きを終えて
16時28分、「阿南市役所前」バス停に到着です。翌朝のバスの時間を調べておきましょう。これもテレビ東京の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」でよくある光景ですね。
※「阿南市役所前」バス停時刻表
ここから乗るとしたら、7時16分のバスですね。実はこの路線、阿南市役所に来るまでにJR「阿南駅」の前を通っています。コンビニからだと「阿南駅前」バス停の方が近いので、そちらから乗った方がいいかもしれません。最終決定はダイヤを確認してからにしたいと思います。
ホテルに戻り少し休憩してから、「阿南駅」の方に歩いていきました。しかしバスで通ったはずなのに、バス停がなかなか見つかりません。
実はバス停は西口ではなく、東口の阿南市商工会議所のところにあったんですね。結局18時を過ぎてから見つけることができました。
※「阿南駅前」バス停時刻表
ここからですと、7時25分です。少し時間に余裕が出ます。ありがたいですね。
この後、西口方面に戻り、夕食場所を探します。この辺は飲み屋しかないのですが、阿南の酒場とりやつきやという焼き鳥のお店があったので、そこに入ることにしました。冷しゃぶサラダを頼んだのですが、4人前くらいの感じで大皿にドーンと出てきたので、食べきるのに苦労しました。他にもご飯や徳島名物フィッシュカツなどを頼み、しめて3,910円です。やはり居酒屋に行くと高くつきますね。
お腹がはち切れるくらいいっぱいになりましたが、コンビニで翌日の朝食を買っておかないといけません。ファミリーマート阿南富岡店に行き、もはや定番となってしまった朝食を購入しました。
ホテルに戻って入浴、洗濯です。助かったのは、この日は少年野球がいなくなっていたことです。前日とは打って変わって、静かな夜となりました。
また、フロントで荷物を送るための伝票をもらいました。前日に一度キャリーバッグとして引きずってみたのですが、やはり結構しんどかったんですよね。お金はかかりますが、体力を温存するためにも送った方がいいと思いました。
伝票を書き、就寝しました。だいたいこのころには、21時前後に就寝するという習慣がついていました。
歩き遍路振り返りデータ
歩き遍路のためにデータを振り返っておきます。なお、飲食費はここでは振り返りません。人によって飲食費は変わると思いますので。私は1日に500mlのペットボトルを6~8本くらい飲んでいましたので、飲み物代だけでも1日に1,000円以上は軽く超えていました。
札所情報
札所:2か寺
納経代:600円
大師納経代:600円
宿情報
スーパーホテル阿南・市役所前
禁煙お部屋タイプお任せ(※シングルルーム)
宿泊費:7,300円
室内に冷蔵庫・バス・トイレあり
WiFiあり
大浴場あり。温泉
洗濯機・乾燥機あり(5台)
洗濯機200円、乾燥機無料
アクセス:バス停から約5分
コンビニ:徒歩約10分弱
フロントスタッフなど人員は少ない
バス情報
行き:徳島阿南バス 「阿南駅前通り」~「お松権現前」 500円
帰り:徳島バス 「阿瀬比」~「阿南市役所前」 580円
距離と歩数
ASUS VivoWatch BP(HC-A04)
カロリー:2,037kcal
距離 :29.2km
歩数 :42,131歩
スマホアプリ
歩数 :45,465歩
歩き遍路 5日目 ◁ 歩き遍路 6日目 ▷ 歩き遍路 7日目
最終更新:2021.11.3
*1:四国遍路聖地巡礼「徳島編 | 歩き遍路のための「四国遍路」巡礼マップ『20番札所鶴林寺』」2021.10.2閲覧
*2:四国遍路聖地巡礼「徳島編 | 歩き遍路のための「四国遍路」巡礼マップ『21番札所太龍寺』」2021.10.2閲覧
*3:四国遍路聖地巡礼「徳島編 | 歩き遍路のための「四国遍路」巡礼マップ『21番札所太龍寺』」2021.10.3閲覧