西国お遍路“行雲流水”

西国三十三所や四国八十八ヶ所を雲のごとく水のごとく巡礼した記録

四国八十八ヶ所 歩き遍路 20日目(2021.8.9) 39番札所 「市野々」バス停~「寺山口」バス停

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39番延光寺

台風が接近する中、何とか足摺岬への巡礼を果たしましたが、台風の影響はこの日も残っていたのでしょうか。いよいよ高知県最後のお寺を巡礼する、四国八十八ヶ所歩き遍路の旅、20日目のレポートです!

歩き遍路 20日目 「市野々」バス停から「寺山口」バス停まで

歩き遍路20日目、8月9日(祝)のレポートです。まずは、計画表と実行程表をご覧ください。

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台風9号は前日の20時過ぎに鹿児島県枕崎市付近に上陸、その後も北東へと進みつづけました。この日の5時過ぎには広島県呉市に再上陸していたそうです。台風の動き次第ではこの日も予定が変わってくる可能性があったので、早めに中国地方へと抜けてくれたのは助かりました。

台風の影響が残ることを見越して、この日の起床はゆっくりめの6時30分でした。まずは朝食を食べながらニュースで情報を収集します。強風域からも抜けつつあるようでしたので歩いて移動できそうだったのですが、窓の外を見るとまだ風が結構強い状態でした。ということから、ホテルを何時に出発するか、ということが問題となります。

「市野々」バス停から39番札所延光寺まで

10時8分ごろに「市野々」バス停を出発して、39番札所延光寺には16時11分ごろに到着しました。Googleマップよりも約40分ほど時間がかかっています。しかし休憩時間と考えると、なかなかのペースで進んでいたことが分かります。

この日のゴールと、そこに到着すべき時間は決まっています。「寺山口」バス停に17時29分です。ホテルのチェックアウト時間が10時だということもあり、やはり9時42分のバスに乗るのがよさそうです。

10時37分のバスでも間に合うとは思いますが、その場合は39番札所延光寺の参拝を翌日に回さなければいけなくなりそうでした。外の様子を見ながら、9時42分に乗れるように準備をします。

9時15分、何とか風も収まりつつあったので、ホテルしみずをチェックアウトしました。国道321号線を少し下ってまずはローソン土佐清水旭町店に行き、飲み物などを購入します。8月7日の夕食に始まり、5食連続で私の胃袋を満たしてくれたローソンです。

旭町」バス停はローソンのすぐ前です。15分近くバスを待つことになりました。向かい側の竹本釣具店の方がシャッターを開けて開店準備をしておられました。

20代くらいの学生でしょうか、私よりも5分ほど後にバス停にやって来ました。挨拶はしてくれたのですが、いざバスが来たら私よりも先に乗り込みました。順番は守りましょう。

バスに乗っている時間は25分ほどです。「市野々」バス停は反対側にしかないので、そのバス停の向かい辺りで降ろしてもらいました。

10時を過ぎており1日の始まりとしては今までで最も遅い時間ですが、いざスタートです。

まずは国道32号線をカフェダイニング ルーチェの方まで打ち戻っていきます。下の写真は歩き始めて5分後くらいに撮った写真です。

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※天気はどんよりとしている

おそらくあの山々を越えて北上していくことになるのでしょう。

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※強風で倒れたと思われる稲

右側の田んぼでは、稲が南向きに倒れていました。台風の影響だと思われます。こうなると機械での稲刈りが難しくなると思うので、大変でしょうね。

10時30分過ぎ、カフェダイニング ルーチェの近くにある公衆トイレに到着しました。トイレをお借りします。出発してから初めてのトイレです。

時間が早いので、カフェダイニング ルーチェは外から様子をうかがうだけにしました。ご挨拶してもよかったのですが、お仕事の邪魔になるかもしれませんので。店内の電気はついていたように思います。

10時42分、三原へとつづく分岐点にやって来ました。

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※三原への分岐点

カフェダイニング ルーチェのマスターに教えていただく前は、私は土佐清水の中心街から西へと向かい、益野川に沿って三原の方へ抜けるルートを考えていました。四国遍路聖地巡礼のマップ*1では、そのルートが遍路道となっていたからです。Googleマップのストリートビューで見ると、山道ではありますが、きちんと舗装されておりドライブにはよさそうな道です。

しかし、Googleマップで見ているかぎりでは上野の集落から三原の集落まで約16kmにわたって何もない区間がつづいています。車だったら16kmは20分もかかりませんが、人間の場合は4時間近くかかってしまうわけです。トイレや自動販売機など何もないところを4時間歩きつづけるというのは、やはり怖いですね。

というわけで、マスターの教えのとおり、打ち戻って県道346号線を通ることにしたわけです。はたしてどのような道なのでしょうか。

県道346号線に入って400メートルほどで、真念庵への登り口が出てきました。ここで10時49分です。

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※真念庵への登り口

昔はこの真念庵に荷物を置いて、金剛福寺に1泊してから打ち戻ってきたようです。片道30kmくらいありますね。

時間的にも体力的にも余裕のない私は、もちろん真念庵をスルーします。

そこから150メートルほどで、また分岐が現れました。何となく真っ直ぐ行きたくなりますが、三原は左で細い方の道になります。

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※三原への分岐点その2

分岐点で左を向くと、こんな感じです。

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※延光寺まで23kmの案内標識などが立っている

ここからの道はパラパラと住宅もあり、庭に出ておられる方もちらほらいらっしゃいました。台風の後片づけをしておられるのかもしれません。

しばらく進んでいくと、民家もなくなり、ジワジワと登っていく感じになってきました。さらに、小雨も降ってきます。まだ傘を差さずにしのげる感じでしたので、傘は差しませんでした。やはり菅笠はありがたいですね。

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※三原への山道

上の写真で11時1分です。下っているように見えますが、登っているはずです。

この辺を歩いているときは、こっちの道も十分何もないなあと思いましたが、直に集落が出てきます。

11時39分、成山の集落にあるお遍路さん休憩所まで来ました。

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※お遍路さん休憩所

当然のことながら、どなたもいらっしゃいません。お遍路さん受難の時代ですね。

ここで休憩してもよかったのですが、疲れていなかったのでそのまま突き進みました。すると、雨が強くなってくるではありませんか。

カッパを着るならば先程の休憩所で用意できたのですが、もう通り過ぎてしまっています。仕方なく、傘を差すことにしました。傘を差すと杖もあるので両手が塞がってしまうのが難点です。

休憩所から1.2kmほど進むと、ものすごいヘアピンカーブがありました。この辺は急激に登っていく感じです。11時59分でした。

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※ヘアピンカーブの上り坂

この坂に限らないのですが、ところどころ暴風で飛んできたであろう葉っぱや木の枝が道路に散乱していました。

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※ヘアピンカーブからの登り

ごくたまに車が通ります。ですので、大きな枝などは端によけながら歩いていきました。

1kmほどこのような山道を歩いていくと、急に開けたところに出ます。狼内の集落です。ここから県道346号線は右に折れて北上し、四万十市の西の方へとつづいていきます。三原へ向かうには、道なりに県道46号線を西に向かっていくことになりました。

集落へと入っていって最初のお宅は何か畜産をやっておられました。そこから250メートルほど進んだところに、古い石碑のようなものや五輪の塔がありました。12時12分です。

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※五輪さん

村内最大の五輪の塔で、「五輪さん」と呼ばれて村民の崇敬を集めているらしいですが、由緒などは不明だそうです。

五輪さんから350メートルほど進むと、今度は狼内城趾の説明板が出てきました。ここで12時17分です。

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※狼内城趾

一条氏・長宗我部氏に仕えた江口六太夫のお城だったようです。

狼内城趾の説明板から県道46号線を1.7kmほど西に進みました。すると今度は、「みみごさん」なる説明板が出てきました。12時37分です。

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※みみごさん

説明板はここに立っていますが、祠がこの上の山腹にあるようです。何でも、ある女性遍路がこの地で病に倒れて亡くなったのを、村人たちが経箱と一緒に弔ったそうです。すると様々な功徳があり、とくに耳の病に霊験があったことから、今でも「みみごさん」と呼ばれて祭祀を絶やさない、ということでした。

この辺は三原村の教育委員会が頑張ってくれていて、様々な説明板があるので歩き遍路を退屈させずにいてくれますね。

12時43分、この東部地区の集会所らしき建物の前まで来ました。ありがたいことに、公衆トイレがあるようです。

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※上長谷集会所前

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※上長谷集会所

左の建物がトイレです。かなりキレイでした。地元の方が清掃してくださっているのでしょう。

集会所のすぐ隣に神社がありました。天満宮です。

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※天満宮

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※天満宮説明板

説明板によると、天満宮だけでなく、八幡宮のほか7社が合祀されているようです。ここも登っていかないといけないようですので、当然パスします。

12時46分、遍路道の道標が出てきました。

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※真念法師の道標

江戸時代前期の貞享4(1687)年、真念法師が願主となり、大阪西浜町のてらじま五良ヱ門が施主となって建てられたそうです。「右遍路みち、左大ミつ(※みず)のときハこのみちよし」と書かれているようです。右はどうみても山道ですが、雨のときは危険だから左の道を勧めているのでしょう。私も愛媛県に入ってから、山道を雨の中歩いて苦労しました。

上の真念石からしばらく歩くと集落を外れ、また何もないところをしばらく歩いていきます。この辺りでは、道端にちょくちょく白い花が見られました。

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※ユリ?

初めはササユリかなと思ったのですが、色が違うのでササユリではなさそうです。タカサゴユリかもしれませんが、まったく確証はありません。どなたかお花に詳しい方、教えていただきたく思います。

真念石から2kmほど歩くと、また分岐点に出ました。県道46号線はこの後南へと進路を変えるため、右側の宮ノ川トンネルの方へと向かいます。分岐には一応延光寺への案内標識がありました。

13時13分、宮ノ川トンネルの前まで来ました。

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※宮ノ川トンネル

宮ノ川トンネルは1998年2月の完成で、長さは270メートルあります。歩道の幅は普通で柵はありませんが、交通量が少ないので安全です。

お昼を大分過ぎてしまいましたが、食べるところもありませんし、スタートが遅かった分時間の余裕がありませんので、そのまま進んでいきます。トンネルを抜けて少し進むと、三原村の中心の集落に入ってきました。

集落に入ってすぐに、細い道を右折します。墓地を左に見ながら、北西方向へと進んでいきました。県道21号線に向かってショートカットする感じです。

長谷川に流れ込む支流まで出たら、右折してすぐに左折です。橋を渡って、西へと進みます。この橋のところには遍路シールが貼ってありました。Googleマップでは橋の手前にバス停マークがあるのですが、どこにもバス停らしきものはありません。

橋を渡ってから、350メートルほど切り通しのような道を西へ進んでいきます。Googleマップでは少し大きな交差点のようになっていますが、実際にはただの辻のようなところを左折しましょう。県道344号線になります。

170メートルほど県道344号線を進んだら、今度こそ本当に大きな交差点に出ました。大きな交差点とはいうものの、信号はありません。ここを右に進みます。150メートルほど進むと、県道21号線に合流しました。ここから平田の町まで、ひたすら県道21号線を進んでいくことになります。距離にして8km弱あります。

県道を歩き始めて3分ほどで、星ヶ丘団地の入口に出ます。三原村のグラウンドやふれあい広場などもあります。もちろんトイレもあるのですが、少し登らないといけない感じで面倒だったので、パスしました。今から思うとここで行っておくべきでした。

さらに550メートルほど進むと、出ました、ヘンロ小屋・15号・清水川です。しかしここのヘンロ小屋はあまり管理がされていないのか、大分傷んでいる感じでした。休憩もお勧めできないですね。

この後もひたすら県道を歩きつづけます。次第にトイレに行きたくなってきました。不幸中の幸いだったのは、小だったということです。最悪、山の中に入ればできるという保険のようなものがあるので、何とか耐えて前進しました。

ヘンロ小屋から1kmほど歩いたところで、左側に集落が見えてきました。村民いこいの森への案内標識も出ています。集落の入口のところに公衆トイレのような建物が見えたので、地獄に仏とそちらへ進みました。

ところが、公衆トイレのように見えた建物はよく分からない物置か何かでした。身震いしながら県道へ戻ります。ここから県道には歩道がなくなりました。

1km弱先へと進んだところは、中筋川の渓谷になっていました。県道は渓谷を渡ってつづいています。川の左右には公園のようなものがありましたが、とてもそこまで降りていくことはできそうにありませんでした。前進するしかありません。

橋を渡るとすぐに梅ノ木トンネルでした。ここで14時13分でした。

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※梅ノ木トンネル

トンネルの入口と橋の終わりは数メートルしか離れていません。後ろを振り返って橋の方を撮影しました。

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※梅ノ木大橋

梅ノ木トンネルは1986年3月の完成で、長さは515.5メートルあります。歩道はありますがかなり狭く、だんだん交通量も増えてきていましたので、危険なトンネルです。

トンネルを抜けて少し歩くと、中筋川のダム湖である蛍湖に出ました。県道は、ここもかなり高いところを通っています。蛍湖を渡る橋は、黒川大橋と言います。

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※蛍湖

橋を渡ったところに、左側に入っていく分岐点がありました。どうやらダムの管理事務所などがあるようです。そこのコンクリートの壁に、簡単な案内マップが貼ってありました。ここで14時20分です。

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※中筋川ダム案内マップ

大きなものではありませんので、車で通行される方は見落としてしまうでしょう。しかし、歩き遍路には十分な大きさです。さらに、役に立つ情報がいくつかありました。

1つ目の情報は、トイレがあるということです。小の方とはいえ、かなり我慢していたのでこれは助かりました。

2つ目の情報は、直進した場合トンネルを通らないといけない、ということです。梅ノ木トンネル辺りから交通量も増えてきていましたので、避けられるトンネルは避けた方が無難でした。マップで見るかぎりでは、それほど大回りせずに県道に合流できそうです。

3つ目は、屋根付き休憩所があるということです。昼食も食べずに進んできましたが、そろそろ休憩してエネルギーを補給した方がよさそうでした。

というわけで、県道を外れて左へと進みます。するとまたすぐに、右へ上がっていく道が出てきました。右に上がっていく方にはダムサイト公園と標識がありますが、ここは右ではなく、直進しないといけません。少しだけ下っていくような感じです。

ダムサイト公園との分岐から300メートルほどで、左側に管理事務所が出てきました。トイレなどはこの先のようです。

管理事務所からすぐに、ダムへと出ました。

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※中筋川ダム

右が下流側、左が蛍湖側です。ダムの奥の方には進まず、元の道を進みます。

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※中筋川ダムの公園

上の写真で14時25分です。

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※ダム

程なく、休憩小屋に到着しました。向かい側がトイレになっています。トイレはまあまあキレイでしたが、「スズメバチに注意!」と書いてあるので、油断できません。しかし、かなり久しぶりに私のダムを放水することができました。

休憩小屋で休憩します。屋根もあるので、安心です。ハチは怖いですが。

朝、ローソンで購入したSOYJOYを食べます。フルーツの方はおいしかったのですが、ナッツの方が少し消化が悪いのか胃にもたれました。やはりカロリーメイトが一番おいしいですかね。めちゃくちゃ口の中の水分をとられてモサモサしますが。

ちょうど業者の方が敷地内の剪定作業をしておられました。小雨はまだ降っていましたので、やりにくかったろうなと思います。

さて、20分ほど休憩して出発です。ここから延光寺までは7km弱ありますので、まだ1時間半くらいはかかりそうです。ラストスパートですね。

出発してすぐに、県道21号線に合流しました。14時46分です。

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※黒川トンネル

ここに出てくるとちょうど大きなトラックが通っていったので、トンネルを通らなくてよかったと思いました。

2kmほどは何もないところを進んでいきます。歩道もありません。ジワジワと下っていく感じでした。

すると、段々と景色は開けていきます。ちょうど平田町の町並みの端っこに稲荷大明神がありました。ここで15時9分です。

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※稲荷大明神鳥居

稲荷大明神から1.8kmほどで土佐くろしお鉄道宿毛線の「平田駅」に到着しました。駅でトイレをお借りします。ようやくこの辺で傘なしで歩けるようになってきました。傘をリュックのサイドポケットにしまいます。

さらに200メートルほど進むと、国道56号線に出ます。久しぶりの邂逅ですね。3日前まではこの国道56号線を延々と歩いてきていたのですが、足摺岬に回ってきた身としては、旧友との再会のような感覚です。この辺は「ゴーゴー砂漠」と名づけた国道55号線とは少し違いますね。

ちょっと分からないと思うのですが、駅から国道に出るちょっと手前のところに鷹らしき鳥がいたので、写真に撮りました。15時35分でした。

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※鷹のような鳥

この写真の左側はローソン宿毛平田町店です。そちらで飲み物を補給しました。

ここからは国道56号線を1.4kmほど歩いていくことになります。

国道に入ってしばらくすると、宇和島まで72kmの案内標識が出てきました。15時43分です。

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※宇和島まで72kmの案内標識

宇和島まであと2日かかる、ということですね。翌日宿泊する愛南町で28kmです。まあ、そんな感じでしょう。晴れ間も出てきたので、お寺を前に清々しい気持ちになってきました。

20分ほど歩いてようやく延光寺へと向かう分岐点に到着しました。ここからは山の方に向かっていきます。しかし、延光寺は山寺ではありません。山の手前のお寺です。

16時6分、中村宿毛道路の高架下をくぐっていきます。お遍路さんを見込んだ、旅館やホテルの案内板もありました。

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※中村宿毛道路の高架

この辺を歩いているときは赤トンボがちらほら飛んでおり、ちょうど1羽が私を道案内するかのように飛んでいました。とてもメルヘンな気分になった、のどかな道でした。

ところが、いよいよお寺が近づいてきたぞというころに、大阪ガスの代理店から電話がかかってきました。実はこのお遍路中、7月31日にもかかってきており(※ちょうど神峯寺にいたころだったと思います)、何の勧誘かは忘れましたがはっきりと断っていたのですが、再度別の人からかかってきたのです。お遍路中でお寺が近いことを告げて切りましたが、あんまりしつこいと心象を悪くしますよね。まあ契約件数によって彼女たちの給料は変わるでしょうから、分からなくはないのですが。

民宿嶋屋を過ぎてさらに進むと、ついに延光寺の駐車場のところに到着しました。

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※延光寺駐車場

奥がお寺の敷地になっています。16時12分、山門前に到着です。トップの写真は逆光だったので、反対側に回りました。

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※山門

お寺は静かな雰囲気です。私と同じくらいの年齢と思われる、お坊さんと思しき方が掃除をしておられました。

本堂の近くにあるベンチで、準備を整えます。笈摺は着たのですが、なぜか輪袈裟数珠をつけるのを忘れていました。

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※赤亀(梵鐘)

このお寺の梵鐘は国指定の重要文化財となっていますが、赤亀が竜宮城から持ち帰ったという逸話が残されています。境内案内図や見所については、四国遍路聖地巡礼のホームページ*2をご覧ください。

さて、まずは本堂納経をします。

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※本堂

私が本堂納経をしていると、20代くらいの若者4名がやって来ました。ワイワイ騒ぎながらです。うーん、ノリでお遍路始めました、という感じでしょうか。もちろんお遍路をやることはいいことなので大歓迎ですが、お寺では静かにして欲しいものです。彼らは本堂に参拝すると、すぐにいなくなってしまいました。納経所に行ったか、帰ったかは分かりませんが。

私はつづけて大師堂納経をします。

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※大師堂

大師堂は八十八ヶ所でも随一の小ぢんまり感ですね。

納経所に行く途中に、眼洗いの井戸がありました。

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※眼洗いの井戸

村人が水不足で困っていた際、弘法大師錫杖で地面を突いたところ湧き出た井戸とされます。眼病にご利益があったということで、眼洗いの井戸と呼ばれているようです。

納経所は、先程お掃除をしておられたお坊さんらしき方でした。作務衣を着ておられますが、おそらく若住職なのでしょう。祝日ということもあってか私が来てからも参拝者の姿は絶えず、私の前後にも、3組ほどご夫婦が納経帳に記帳・押印してもらっていました。皆さん、納経所の手前の池に注目しておられます。

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※亀の池

ここも亀のご由緒があることから、池にカメが住んでいます。亀のような形をした石もあります。生きているカメかどうか議論しておられるご夫婦もいらっしゃいました。

また、お寺の端っこにはいぶきという木が植えられていました。

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※寺山のいぶき

このいぶきの木ですが、樹齢約500年にして、周囲が2.7メートル、高さが約10メートルあるそうです。宿毛市の天然記念物に指定されています。500年前というと戦国時代ですから、豊臣秀吉の四国征伐も目撃している、ということになるでしょうか。

これで延光寺の参拝は終了です。ホテルに向かうために、「寺山口」バス停を目指しましょう。

39番札所延光寺から「寺山口」バス停まで

16時50分ごろに39番札所延光寺を出発して、「寺山口」バス停には17時5分ごろに到着しました。妥当なスピードだと思います。

17時29分というバスの時刻を見越して、少し延光寺で休憩しました。これから約1km先の「寺山口」バス停を目指しましょう。

寺山口」バス停は国道56号線沿いにあります。まずは来た道を国道まで戻ります。お寺を出発してから2~3分後に振り返って写真を撮りました。郷愁を誘われたのでしょう。ここで16時53分です。

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※延光寺遠景

ここからはまた民宿嶋屋の前を通り、中村宿毛道路の高架下をくぐっていきます。そのまま直進して国道56号線に突き当たりました。

中村方面行のバス停は、国道の北側にあります。ちょうど交差点の左側すぐのところでした。一方の宿毛方面行は、国道を渡って南側に行かなければなりません。30メートルほど東の信号のある交差点を渡り、南側に出ました。

バス停はそこから50メートルほど西側になります。左手にフィッシングショップ ニューおじまを見ながら進みました。

17時5分、「寺山口」バス停到着です。ちょっと写真を撮っていなかったのですが、四阿あずまやのような待合所があります。しかし、ゴミを捨てていく方が結構おられるようで、ちょっと座ろうという気にはなりませんでした。バス停の袂で、立って待ちます。

近くに工場か何かがあるのか、2~3人の男性が後からやって来られました。バスは交通弱者の大切な足ですからね。

歩きを終えて

17時29分、ほぼ予定どおりにバスがやって来ました。一番に乗り込みます。全員乗り込むのを待って、バスは出発しました。

バスは国道56号線をしばらく走った後、県道4号宿毛津島線に入って「宿毛駅」を目指します。当初の予定では私も「宿毛駅」バス停で降りるつもりだったのですが、延光寺で休憩している間にホテルに最寄りのバス停を調べていました。どうやら、「宿毛駅」よりも「幡多信宿毛西支店前」バス停で降りた方がホテルには近そうです。

というわけで17時45分ごろ、「幡多信宿毛西支店前」バス停で降りました。バス停降りてすぐのところにローソンもありますし、ホームセンターなどもあって便利そうな町です。

バス停から南の方へと進んでいきます。230メートルほどで国道321号線に出ました。この国道321号線は足摺岬の先端までは行きませんが、中村から土佐清水、そしてこの宿毛までを結んでいる幹線道路です。

そこから100メートルほど西に進むと、この日のお宿ホテルアバン宿毛に到着しました。17時55分ごろでしたでしょうか。すぐに中に入り、フロントへ向かいます。ロビーはそんなに広くありませんが、まあキレイなホテルです。フロントの男性に確認してもらい、鍵をもらいました。また、荷物も受け取ります。翌日の配達のこともうかがったのですが、あいまいな返事だったこともあり、コンビニで送ることにしました。

ここはいろいろサービスが多く、カップ麺や入浴剤がついてきます。また、敷地内にあるかつ村というとんかつ屋さんの10%割引券ももらえました。ここのところ、コンビニのご飯で夕食を済ませることが多かったので、この日はとんかつを食べることにしました。歩いている途中で、お腹の調子が悪くならなかったことも理由の一つです。

18時を過ぎていたということもあり、かつ村は少し混んでいました。祝日でしたしね。いろいろ考え、ちょっとでもお腹に配慮して梅しそ定食にしました。10%引きで消費税がかかって、1,242円です。

さあ、洗濯を急がなければなりません。実はこのホテル、洗濯機と乾燥機は2台ずつしかありません。私がかつ村に行っている間に、すでにお一人洗濯をしておられました。

部屋でシャワーを浴び、すぐに着替えて洗濯機のところへ行きます。ここのランドリーは、建物の外にあるので、きちんと服を着ていかないといけません。

幸い、1台空いていましたので、早速洗濯を開始します。いったん部屋に戻ってから時間を見計らい、また戻って洗濯物を取り出し、乾燥機にかけました。ここまでは極めてスムーズにいっていました。

乾燥機が時間制になっていなかったので、フロントの男性にどれくらい時間がかかるか聞いてみます。すると、「60分から90分くらいです」との答えでした。そんなにかかるの?とちょっとびっくりしたのですが、確かに乾燥機はそれほど大きくはありません。まあ、それぐらいかもなと思い、部屋に戻ってお風呂に入りました。ユニットバスは比較的新しく、気持ちよく入浴することができました。

乾燥を始めてから50分後、乾燥機を見に行きます。90分かかるかもと思っていたのですが、念のため早めに行ったわけです。

するとやはり、洗濯機・乾燥機のところには人が何人かいらっしゃいました。早めにスタートして正解だったな、と思いつつ、乾燥機の様子を見ます。

まだ動いていたので、「まだみたいだな」と呟きながら部屋に戻ろうとしました。すると、一人の男性が「フロントの人が持っていきましたよ」と言うではありませんか。

何と、もう終わっていて放置していると思われた、ということです。確かにずっと見張っていたわけではありませんが、60分から90分かかると言われたので、60分よりも少し早く様子を見に行ったわけです。それが、すでに回収されているとは!

フロントに行ってみると、先程時間を教えてくれた方とは別の方が「これですか」と洗濯カゴに回収した洗濯物を持ってきました。まぎれもなく、私のものです。さも放置されてましたよ、というような扱いに、ちょっと腹が立ちました。「90分くらいかかると聞いてたんですが」と抗議しましたが、「早く終わる場合もあります」との返事です。私はこれまでどのホテルでも、洗濯・乾燥が終わってから洗濯物を放置する時間が生じないように、早め早めに動いていました。それゆえ、このホテルでも早めに様子を見に行ったのです。それがこのようなことになるとは、ちょっと信じられません。というか、放置しているような自分勝手な人間と同じように思われ、扱われていることが腹立たしかったのです。

案の定、もらった洗濯物をさわってみると、まだ完全には乾いていません。思わず「本当に終わってたんかな」という言葉がもれてしまいました。キレイなホテルで印象がよかっただけに、こんなことになったのがすごく残念でした。

しかしこれには実は理由があって、このホテルは洗濯機・乾燥機の使用料が無料なんですね。無料であるから、必要のない客も洗濯・乾燥をしてしまうのでしょう。それゆえ、こういう事態が起こってしまうのです。いっそのこと、有料にしてくれた方が私としてはありがたいです。そうすれば、お遍路さんのように本当に洗濯が必要な宿泊客だけが使用するようになり、無用な争いも避けられるでしょうから。

というわけで、洗濯をめぐって一悶着ありましたが、翌日のこともあるので、早めに就寝しました。

歩き遍路振り返りデータ

歩き遍路のためにデータを振り返っておきます。なお、飲食費はここでは振り返りません。人によって飲食費は変わると思いますので。私は1日に500mlのペットボトルを6~8本くらい飲んでいましたので、飲み物代だけでも1日に1,000円以上は軽く超えていました。

札所情報

札所:1か寺

納経代:300円

大師納経代:300円

宿情報

ホテルアバン宿毛

シングルルーム(禁煙)

宿泊費:6,300円

室内に冷蔵庫・バス・トイレあり

WiFiあり

大浴場なし

洗濯機・乾燥機あり(2台ずつ 敷地内の外)

洗濯・乾燥無料

アクセス:「宿毛駅」から徒歩12分

コンビニ:徒歩約3分

ランドリーが敷地内の外にあることと、無料のため競争率が高くなることが難点。フロントも機械的で残念な感じだった

バス情報

行き:高知西南交通バス 「旭町」~「市野々」 700円

帰り:高知西南交通バス 「寺山口」~「幡多信宿毛西支店前」 400円

距離と歩数

ASUS VivoWatch BP(HC-A04)

カロリー:3,914kcal

距離  :28.5km

歩数  :41,110歩

スマホアプリ

歩数  :44,673歩

 

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最終更新:2022.1.14