2024年5月3日、九番札所の興福寺の北円堂特別拝観に行ってきました! 毎年春季と秋季の数日ずつ公開されていますが、何しろ建物自体が国宝です。貴重な体験となりました!
2021年10月17日には南円堂の特別公開に行ってまいりましたが、北円堂は初めてです。緊張していましたが、思いのほか注目度が低くて驚きました。
あわせて、以前は入れなかった中金堂にも入ってきました。
南坊の巡礼記「興福寺特別拝観」(2024.5.3)
午前中、奈良国立博物館で開催されている特別展「空海展」に行っていました。さらにその後、なら仏像館で公開されている吉野の金峯山寺仁王門の金剛力士像を拝観しました。
さて、いよいよこの日最後の目的である、興福寺北円堂の特別拝観に臨みます。奈良はとにかくすごいお寺が多すぎるので、東大寺や法隆寺レベルのお寺でも行っている暇がありません。まあ、近いうちに何とかしたいと思いますが。
興福寺 北円堂 特別拝観
12時30分過ぎには、興福寺の境内に入っていました。日も照ってきて非常に暑くなってきています。参道には鹿のフンがところどころに落ちていて、かぐわしい臭いが漂ってきていました。まだ5月なのに、めちゃくちゃ暑いです。朝は1桁台の気温でしたので、ギャップがすごいです。夏日にはなっていたはずです。
また、人が多いです。とくに、外国人の方が多かったですね。
※五重塔
前回までと異なっているのが、五重塔が無粋な形になってしまっているところですね。どうも、2024年の7月から補修工事が始まっているようです。修復されたキレイな姿を、早く拝見したいものです。
さて、北参道から境内に入っていくと、まず右側に中金堂が出てきます。よく見てみると、たくさんの人が中金堂に入っていかれます。どうやら、中金堂の拝観が復活しているようです。私が2度巡礼した2021年はコロナ禍でしたので、2度とも中金堂は入れなかったのですが、今回はどうやら入れそうです。
ただ、入るかどうかは後で考えることにして、まずはお目当ての北円堂を目指します。中金堂の敷地の外側をぐるっと回っていくと、正面に南円堂が見えてきました。納経所にすごい行列ができています。うーん、北円堂の拝観券をそこで買うとしたらイヤだなあ~と思いながらさらに進み、右に曲がると、北円堂の案内が見えてきました。
※北円堂案内
案内看板に従って近づいていくと、北円堂が見えてきました。幸いなことに、人が全然いません。私の前に外国人の男性2人がいたぐらいでした。拝観券もここで買うことができます。300円でした。
※北円堂
北円堂は国宝です。北円堂は、奈良時代の養老4(720)年に亡くなった藤原不比等の追善供養のために、元明上皇と元正天皇が発願し、長屋王に命じて一周忌にあたる翌年の8月3日に完成させたものです。八角形は死者を悼む廟堂としての意味をもつもので、南円堂も同じ八角形をしています。現在の建物は鎌倉時代の承元4(1210)年に再建されたもので、興福寺の伽藍に現存している堂宇の中では最も古いものだそうです。収められている仏像はあの運慶一門によって制作されたものだということです。
※北円堂を近くから撮る
中に入ります。正面に鎮座されているのが、ご本尊の弥勒如来坐像です。さすが、博物館ではなくお堂の中に祀られているだけのことはあります。非常に厳かな雰囲気を持っておられます。あの運慶の作とされます。
弥勒如来の左には大妙相菩薩さま、右には法苑林菩薩さまが祀られています。また、後ろには無著菩薩や世親菩薩が立っておられます。
※無著像(出典:Wikipedia)
※世親像(出典:Wikipedia)
無著、世親はインドの僧侶で、兄弟です。兄の無著はインド名がアサンガ、弟の世親はインド名がヴァスバンドゥで、大乗仏教の唯識思想を大成した方々ですね。
この無著菩薩立像、世親菩薩立像も運慶の作とされます。
そしてこれらの如来・菩薩さまをお守りしているのが四天王立像で、エキゾチックな顔立ちをした独特の風貌をしておられます。何と奈良時代末期の延暦10(791)年の制作で、元は大安寺に伝来したものを、後に興福寺に移してこられたそうです。
あまりにも表情が豊かな仏さまたちで、2周してしまいました。
以下、国宝の仏像を整理して挙げておきます。
・木造 弥勒如来坐像 像高141.9cm 運慶作 鎌倉時代・建暦2(1212)年ごろ
・木造 無著菩薩立像 像高194.7cm 運慶作 鎌倉時代・建暦2(1212)年ごろ
・木造 世親菩薩立像 像高191.6cm 運慶作 鎌倉時代・建暦2(1212)年ごろ
・木心乾漆造 四天王立像 像高134.7cm~139.7cm 平安時代・延暦10(791年)
いやあ、とにかくお堂も仏像も素晴らしかったですね。
興福寺 北円堂特別公開データ
期間 :2024年4月20日(土)~5月6日(月・休)
開扉時間 :9:00~17:00
特別拝観料:300円
興福寺中金堂拝観
北円堂をじっくりと拝観することができ、気分よく戻っていきます。帰り際に、南円堂も参拝しました。
※南円堂
それなりに人はいますが、そんなに混んでいるという感じではありませんでした。ただ、一応記帳・押印をしてもらおうと思ってご朱印帳を持ってきていたのですが、納経所はすごい行列でしたので、ご朱印をいただくのは諦めました。まあ、私はご朱印マニアではなく、巡礼ヤーですので、いいでしょう。
来た道をもどり、勧進所・売店の方に行きました。中金堂の入口では拝観券を売っておらず、勧進所の方で売っていたからです。どうやって買うのかな?と思うと、何と自動販売機でした。ちょっと味気なかったですね。
ちなみに北円堂の入口では、寺男らしき方が拝観券を売ってくださいました。その際、「空いてるんですね」と声をおかけすると、「納経所は大変ですけどね」というお返事をいただきました。自動販売機だとそういうコミュニケーションが成り立たないわけですね。なお、中金堂の拝観券は500円です。
中金堂は敷地が広いです。
※中金堂を離れたところから撮影
中金堂の入口は左側でした。中に入ると、広さに圧倒されます。
ご本尊は、釈迦如来坐像です。江戸時代の文化8(1811)年に作られたそうで、平成30年の再建にあわせて修理されたとのことです。きちんと塗り直されていて、制作東寺のお姿はこうだったのだろうなと偲ばせてくれます。
脇侍は薬王・薬上菩薩立像で、重要文化財となっています
また、四方を守っている四天王立像は国宝となっています。
以下、祀られている像で重要文化財以上のものを挙げておきます。
国宝
・木造 四天王立像 像高197.2~206.6cm 鎌倉時代
重要文化財
・木造 薬王菩薩立像 像高362.0cm 鎌倉時代・建仁2(1202)年
・木造 薬上菩薩立像 像高360.0cm 鎌倉時代・建仁2(1202)年
・厨子入り木造 吉祥天倚像 像高64.3cm 南北朝時代
・木造 大黒天立像 像高93.8cm 鎌倉時代
こうして、無事に中金堂の拝観も終わりました。これで通算すると中金堂、東金堂、南円堂、北円堂、五重塔を拝観したことになります。あとは、三重塔の中に入って拝観したいですね。
三重塔の特別拝観は聞いたことがありませんから、アンテナをしっかりと張って、チャンスを逃さないようにしないといけませんね。
というわけで皆さんも! Let's start the Pilgrimage West!