西国お遍路“行雲流水”

西国三十三所や四国八十八ヶ所を雲のごとく水のごとく巡礼した記録

四国八十八ヶ所 お遍路さんになってみよう!

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弘法大師像(高野山金剛峯寺)

皆さんは、「お遍路さん」という言葉をご存知ですか?

一般的に、四国八十八ヶ所の札所を巡礼する方々のことを、このように呼びます。

実は今こそ、お遍路さんとして四国八十八ヶ所を回るべき時なのです!

お遍路さんのすすめ

それでは、今お遍路さんとなるべき理由を順番に説明していきましょう!

お遍路とは

まず最初に、お遍路とは何か、説明していきたいと思います。

突然ですが、皆さんは熊野古道をご存知ですか? 2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されました。伊勢路紀伊路といった旧国名のついた巡礼路の他に、大辺路おおへち中辺路なかへち小辺路こへちといった「辺路へち」と表記される巡礼路があります。

実は、この「辺路へち」と「遍路へんろ」は本質的には同じ言葉なのです。実際に、民俗学者の五来重さん*1によると江戸時代くらいまでは「遍路」は「辺路へんろ」と書いていたそうですし、栃木県満福密寺ご住職で密教研究家の長澤弘隆*2によれば、平安時代末期の『梁塵秘抄』では「辺地へち」と表現されていたそうです。

辺地へち」とは文字通り端っこの地ということであり、どうやら海岸線や海と山との境界線を指したようです。熊野参詣は死と再生の旅路であったそうです*3し、辺地辺路とはこの世とあの世、人界と異界との境界だったかもしれません。いずれにしろ、そういった地域は修行の地としてふさわしく、古来多くの修験者が行き来しました。こうして次第に西国三十三所や四国八十八ヶ所といった霊場が整備されていったようです。

さて、四国八十八ヶ所は四国で生まれ、修行をされた弘法大師空海、「お大師さま」と呼ばれる)の所縁の霊場です。各札所には、本堂の他に大師堂が設けられていて、人々の尊崇を集めています。この八十八ヶ所という数には、どのような由来があるのでしょうか。

八十八という数字は、しばしば人間の煩悩の数だと言われます。しかし、除夜の鐘を一百八撞くという風習からも分かる通り、一般的に人間の煩悩の数は一百八個あると言われています。

これは私見ですが、十一という数に意味があると思われます。西国三十三所も十一の倍数、四国八十八ヶ所も十一の倍数です。十一面観世音菩薩のお顔の数も十一です。

十二、という数は十二月、十二支や黄道十二星座など、洋の東西を問わず貴ばれてきました。12は、1でも2でも3でも4でも6でも割り切れ、非常に気持ちがいい数字だったのでしょう。

逆に、11は不思議な数でした。1と11でしか割り切れない、いわゆる素数です。また、指を折って数を数えていったときに、数えられなくなる、つまり手に余る(指に余ると言った方がいいかもしれませんが……)数が11です。実際に英語の eleven の語源は「一つ余る」だそうです( tweleve は「二つ余る」)。11は、何か人間ごときの思い通りにはならない、摩訶不思議な数として認識されていたのでしょう。どうでもいいことですが、私の誕生日は11月11日で、ミステリアスな蠍座です。

このようなこともあって、霊場が整備されるにつれてそれが十一の倍数である八十八ヶ所となり、江戸時代までには、弘法大師所縁の霊場を巡る現在のような四国八十八ヶ所のお遍路が生まれていったのでした。

ご朱印がもらえる!

「西国三十三所 今、観音巡礼がアツイ!」でも説明しましたが、世はご朱印ブームです。四国八十八ヶ所は全部で十九尊ものご本尊を回ることになります。それだけ、ご朱印の種類も増える、ということです。ご朱印の種類が増えると、何となくより多くの功徳をいただけるような気がしますよね!

賜弘法大師号1100年記念事業が続いている!

すでに亡くなってから一世紀を経ようとしていた空海醍醐天皇から「弘法大師」という称号を賜ったのが、平安時代半ばの延喜21(921)年のことでした。それを記念して、四国八十八ヶ所霊場会では2019年から様々な記念事業を行っています。

ご詠歌札の配布

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各札所のご詠歌が書かれたご詠歌札が配布されています。納経帳や掛け軸にご朱印を押していただくと、このご詠歌札をいただくことができます。すべて集めて額装すれば、家宝として飾ることもできますね。

賜弘法大師号1100年記念大師納経

2020年1月1日より、「大師納経」をいただくことができます。これは、従前の納経帳への記帳・押印とは異なり、規定の大きさの用紙に書かれた「大師納経」を納経代300円を奉納して、授かるものです。すべて集めて霊場会事務所に送付すると、製本して特製記念納経帳を作成していただけます。

なお、製本申込用紙と送付用シールは下記の寺院でしか取り扱っていないようですので、注意が必要です。

1番  霊山寺

75番 善通寺

88番 大窪寺

申込書については、下記のPDFをダウンロードして使用することもできるようです。ただし、縮小・拡大をせずに必ずA4用紙を使用しなければなりません。

大師納経製本申込用紙(四国八十八ヶ所霊場会ホームページよりリンク)

御宝号88億回念誦プロジェクトが行われている!

四国八十八ヶ所霊場会では、2019年10月27日に賜弘法大師諡号1100年御待ち受け法会を行い、そこで御宝号88億回念誦プロジェクトを立ち上げられました。ご宝号とは、弘法大師を敬ってお唱えする「南無大師遍照金剛」という言葉のことです。

折しも2020年以降新型コロナウイルス感染症が拡大したことから、このプロジェクトには「~新型コロナウイルスの終息を願い~」という祈願もこめられています。

現在、88億回を目指してこのプロジェクトは継続中ですが、2021年3月28日11時11分現在で22,475,661回です。まだ1億回にも到達していませんので、道はまだまだ遠いですが、皆さんのお力でぜひ、88億回を達成しましょう!

ちなみに私鷹山南坊は2020年12月30日にそれまでの四国巡礼結願までの528回を計上させていただいております。

日本遺産に登録された!

四国八十八ヶ所の遍路は、2015年4月24日に最初の日本遺産の一つとして、「「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」という名称で登録されました。

各県別で「歩き遍路のための巡礼マップ」がPDFで掲載されていますので、ご活用ください。下記にもアップしておきます。ただし、県別なので一つずつのデータは30MB前後とかなり重いです。あまり使用したという方のレポートは寡聞にして拝見しませんが、なかなかキレイなマップです。

「歩き遍路のための巡礼マップ」(徳島県)

「歩き遍路のための巡礼マップ」(高知県)

「歩き遍路のための巡礼マップ」(愛媛県

「歩き遍路のための巡礼マップ」(香川県)

最後に

いかがでしたでしょうか。今こそお遍路さんになるべき理由がお分かりいただけたのではないかと思います。四国ではお遍路さんを「お接待」してくださいます。このような時代だからこそ、「お接待」文化に触れることで心温まる巡礼の旅ができるのではないでしょうか。

というわけで皆さん! Let's start the Pilgrimage West!

 

最終更新:2021.5.27